司書教諭と学校司書の違いが一目瞭然!
【現場から解説・比較表つき】

子どもと本が好きだから、学校図書館で働きたいな~!

よく【司書教諭】とか【学校司書】とか聞くけど、違うのかな?

何が、どう違うんだろう・・・?

ひとことで言うと、

【司書教諭は教員】

【学校司書は事務職員】です。

ここでは

  • 制度上の違い
  • 業務の違い

に分けました。

学校に勤務したことがない方にも分かりやすく、現場から解説します。

司書教諭と学校司書の制度上の違い

「制度上の違い」とは「法律や制度」で明確化されている、司書教諭と学校司書の「違い」です。

【司書教諭】

司書教諭は12学級以上ある学校には必ず1人はいるはずです。

「音楽専科」が「音楽の授業だけをやる先生」のように、「司書教諭の仕事だけをやる先生」というより、「学級担任が司書教諭もやる」といった具合に兼務します。私立でも「学級は持たずに司書教諭だけやる」という学校は大変恵まれている、という現状です。

司書教諭は「先生が増える」わけではなく、司書教諭の資格を持っている教諭の中から「司書教諭」を任命されるので、自治体(私立ならその学校)は予算を新たに組む必要がありません。

【学校司書】

「学校司書の仕事」をする人で、学校図書館で仕事をして「開館」にしています。学校に「必ず1人はいる」わけではありません。公立学校は設置する自治体によって違います。全校に1人ずつ配置する自治体もあれば、まだ配置していない自治体もあります。又はいくつかの学校を掛け持ちする学校司書もいます。掛け持ちとは、同じ学校に毎日いるわけではなく、〇曜日だけ□□学校に、△曜日は✖✖学校に行く、というように複数校を回ります。

もし今まで「学校司書」という人がいなかったら、募集して雇用する必要があるので、自治体(私立ならその学校)は新たな予算を組む必要があります。「学校司書は全部の学校に必ずいる」というわけではないのです。

法律や制度と、また現状を含めて分かりやすく表にしました。

学校司書は「~の場合もある」「以下のどれか」など、あいまいな表現になっているのは、雇用する自治体によって違うからです。

司書教諭学校司書
学校に何人?1人はいる(12学級以上の学校なら)必ずいるわけではない
いるとしたら、たいてい1人
毎日いるの?教員なので毎日いる以下のうち、どれか
・毎日いる
・他の学校と掛け持ちの場合、毎日ではない
・勤務時間に制限がある場合、毎日来るとオーバーしてしまうので、休みの曜日を作ることもある(学校の要相談)
勤務時間は?教員の勤務時間中は学校にいる(いわゆるパート勤務の場合)教員より勤務時間は短いこともある
教員と同じ時間、というところもある
免許や資格は必要?教員なので教員免許と「司書教諭」資格が必要
(司書教諭の資格は、教員免許がないと取得できない)
(司書教諭 よくある質問集(文部科学省) ▶)
以下のどれか
・資格不問
・司書資格
(教員免許や司書教諭の資格が採用条件の場合もある)
お給料は?教員の給料雇用体系による
パートのように時間給の場合や月給制の場合もある

司書教諭と学校司書の業務の違い

司書教諭と学校司書の制度上の違いから、求められるものと立場が違うので、業務や役割が変わってきます。

司書教諭は教諭なので、「教育」を行います。学校図書館に関する決定権と責任があります。

お互いの業務でも、一部を担当したり、重なっている部分があったりします。

また自治体によって学校司書の採用条件が異なるため、下記が全部当てはまるわけではありませんが、目安を分かりやすくまとめました。

      業務の内容司書教諭学校司書
【学校経営】
学校の経営に関わること
学校行事に関わること
図書館だよりの発行
【授業支援】
授業支援計画
教科指導・読書指導
読書感想文指導と
読書感想文・読書感想画の募集
図書館オリエンテーション
百科事典・図鑑の使い方
著作権・情報モラル教育
【図書委員会】
図書委員会指導
図書委員会にカウンター業務のレクチャー
【蔵書管理】
図書の購入計画・選書
購入した図書の受け入れ業務・装備
図書の廃棄
廃棄本のパソコン入力・台帳消込
図書の補修・蔵書点検
パソコン管理
【環境整備】
図書の分類・排架・特設コーナー・
新着本コーナーの設置
季節の飾りつけ
【貸出・サービス】
パソコンソフトによる本の貸出・返却
利用者の登録・削除・進級処理
レファレンス
【校外の機関との連携】
公共図書館からサービスを
受ける際の窓口
公共図書館から本を借りる・
借り方を教職員にレクチャー
近隣校との連携
【ボランティアとの連携】
ボランティアの連絡・調整・
活動把握

では、それぞれの業務について、詳しく解説します。

学校経営に関する業務は主に司書教諭

学校は、学校目標を指針として、運営の計画を立てます。

司書教諭は、学校経営の中での「学校図書館に関わる教育」を司ります。司書教諭のリーダーシップの下で「学校図書館部」(名称は学校による)として複数人で行うこともあります。

学校図書館目標を掲げて、その目標を指針に学校図書館の年間計画立て、運営していきます。例えば、子ども読書の日の活動や読書月間など行事の企画と実施や朝読の提案・実施などです。

教職員に対しての周知や調整、また反省・評価・統計の実施など、学校の組織としての業務を行います。

学校司書も「学校図書館部」に入ることもありますが、立場上、入らないこともあるし、かっこ書きで名前が入ることもあります。

どちらにしても、学校司書の「協力・補佐」は必要です。

実際の学校図書館利用状況を知り、また図書館ソフト内の記録を使用する際にも操作に慣れている学校司書も参画します。

図書館だよりは司書教諭が主導で

広報活動として、図書館だよりは司書教諭が主導で発行しますが、学校司書が担当する記事もあります。新着本の紹介やおすすめの本コーナーは、学校司書が書くことが多いです。

授業支援は司書教諭が計画を立てる

子どもの教育に関わる「学校図書館としての授業支援」は、司書教諭が年間計画を立て、該当する学級担任と具体的な内容を打ち合わせします。その打ち合わせに学校司書も同席することがあります。

「学校図書館としての」なので、場所が学校図書館に限定されず、教室で行われることもあります。

授業支援を実際に行うのは内容により、司書教諭が行うか、学校司書が行うか、司書教諭と学校司書が共に行うのか変わります。

「教科指導」(例えば総合的な学習の時間など)では教壇に立ち、子どもたちに教育・指導を行うのは、教員である司書教諭です。

著作権や情報モラルの教育も司書教諭が行います。

学校司書も教壇に立つこともあります。図書館の使い方(オリエンテーション)や百科事典・図鑑の使い方(レクチャー)は学校司書が行うことがあります。

他、授業に関連する資料を揃えたり、本の紹介や動機付けの読み聞かせは、主に学校司書が行うことが多いです。

読書感想文・読書感想画関連は司書教諭

読書感想文の指導は司書教諭が行います。

教員に「読書感想文の応募のきまり」を周知したり、校内選考を取りまとめたり、自治体での優秀作品の選考に携わります。

学校司書は読書感想文課題図書の準備して、子どもたちへ紹介したり、課題図書以外の学年に合わせたお勧めの本選び、紹介をして、子どもたちの活動の意欲を高めます。

図書委員会活動指導は司書教諭

だいたい月に1度、「委員会活動の時間」があって、指導や教育は司書教諭が行います。読書月間や「図書館を盛り上げる」ための施策を子どもの委員長を中心に話し合い、活動します。

常時活動(休み時間の貸し借りのカウンター業務など当番制)のレクチャーは学校司書が行うことが多いです。

学校図書館の蔵書管理は司書教諭

この章の「蔵書管理」とは、

  • 図書の購入計画
  • 図書の選書
  • 図書の発注
  • 図書の廃棄
  • 図書台帳の管理

などのことです。自校の教育目標と実態や学校図書館の在り方に合わせて管理します。

学校図書館には、本の貸出・返却の他、利用状況などが記録される図書館ソフトがインストールされているパソコンがあります。

購入した図書の書誌データ入力や装備、廃棄時の図書館ソフトの廃棄処理や図書台帳の消し込みは、学校司書が行います。

そのパソコンやパソコンのパスワードの管理は司書教諭と学校司書が行います。

学校図書館にある蔵書の管理は学校司書

この章の「学校図書館にある蔵書の管理」とは、実際に学校図書館に存在する図書の管理ことで、

  • 分類
  • 排架
  • 装備
  • 補修
  • 蔵書点検

などのことです。学校司書が子どもが使いやすい、使いたくなる学校図書館にするために蔵書の管理を行います。

学校図書館の環境整備は学校司書

環境整備とは、図書の排架、季節や行事などの関連図書を紹介する特設コーナーの設営、季節の飾りつけ、新着本の紹介の掲示など、使いやすく魅力ある学校図書館にすることです。掲示や飾りつけが得意な学校司書もいます。

図書の貸し借りなど図書館ソフトの業務は学校司書

図書館ソフトに利用者と蔵書を登録が必要です。

貸出返却状況や貸出ランキンングなども調べることができます。学校の読書傾向や状況が分かります。

操作は学校司書がマニュアルを見たり、業者から教えてもらったりして、専門的に担当しますが、学校司書が休みの時にパソコンソフトで貸出・返却ができるよう、司書教諭もできるようにします。

司書教諭が学校図書館の評価や統計の調査を行う際には、図書館ソフトの慣れている学校司書が該当の数字のプリントアウトして提示することがあります。

公共図書館との連携

公共図書館が、子どもたちに行うサービスがあります。

公共図書館の司書が来校して、調べ方のレクチャー、絵本や紙芝居の読み聞かせやパネルシアターなどの読書啓発、また逆に公共図書館へ子どもたちが訪問して、公共図書館のことを教えてもらう、などのサービスを受ける際の日程調整などは、司書教諭が行います。

授業支援で使用する図書を借りる時は、担当の先生や学校司書が手続きをします。

近隣校との連携は司書教諭

近隣の学校とは、蔵書の相互貸借を行ったり、情報交換を行ったりします。その窓口となるのは司書教諭です。

学校司書は、近隣校から依頼された蔵書を準備したり、貸出処理を行ったりします。

ボランティアとの連携

学校には、「学校図書館ボランティア」の方がいる学校があります。子どもたちに読み聞かせをしたり、本の修理、図書館整備、飾り付けなどを行います。

司書教諭が窓口になり、ボランティアとの連絡・調整・活動状況把握を行います。

学校司書はボランティアの活動中も学校図書館にいるので、ボランティアとは身近な存在で、活動の詳細の説明や読み聞かせ・修理のレクチャーなどは、学校司書が行うこともあります。

まとめ

いかがでしたか?どちらも魅力的な仕事ですね!

大きな違いは、

司書教諭は学校内の教諭の中から任命される、

学校司書は募集があって採用される

という点です。

私立の学校は、稀に司書教諭の募集があります。

両者とも子どものため、学校図書館のために!

自治体によって雇用条件が違い、まだ学校司書の立場があいまいな部分があるので、全ての学校にあてはまるわけではないですが、法律や制度、司書教諭と学校司書の立場・勤務時間等の違いも考慮に入れて、だいたいの目安で「参考までに」と「理想」です。

役に立つ記事

学校司書と図書館司書の違いは「授業支援」ではないでしょうか。学校司書ならではの「授業支援」を解説しています。

授業支援 ▶

このページの「法律や規定」は以下のことです。

学校図書館法第5条第1項、附則/学校図書館法附則第二項/学校図書館法第6条第1項/学校図書館法第5条第2項前段/学教法第37条第1項・第14項等/学教法第37条第2項等/学校図書館法第5条・公費負担第2項後段/学校図書館法附則/学校図書館法附則/学校図書館法第6条第2項/義務標準法第9条第3号

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