授業で学校図書館をなかなか使ってもらえない!|学校司書さんのストレス解消。高学年でも図書の時間は取れる!

先生方は授業で忙しそうで、なかなか学校図書館を使ってもらえないです💦

そうですね、特に高学年は教科担任制が進んで、「図書の時間」として学校図書館を使う時間を取るのが難しいかもしれませんが、実は、無理ではありません!

 教員免許、司書、司書教諭の資格を持つ現役学校司書がお届けする【お役立ちサイト】です。「学校司書」が認知されていない頃から地道な活動を続け、ようやく学校のチームの一員に!実践例やダウンロードできる資料が満載です。

 教科担任制が進んでいることが要因のひとつです。

「教科担任制」とは中学校以上の校種で経験があると思いますが、小学校も全教科を担任の先生が受け持つのではなく、専科の先生が受け持つか、学年で「社会担当」「理科担当」などを決めて、自分の担任の学級以外にも担当した教科を受け持つことです。

 教科担任制になると、担任の先生が時間割を変えたり、自由に使える時間が少なくなります。

 国語は担任の先生が受け持つことが多いかもしれません。国語の他、担任の先生が受け持つ教科と総合的な学習の時間・学活も教科担任の時間の合間を縫って入れることになると、さらに「図書の時間」を入れるのは難しいかもしれません。

 

実際に1年生から6年生と個別支援学級、全ての学級が毎週1時間(行事前を除いて)、図書の時間を取っていた経験があります。

狙い目は

〇年度初めの「図書館オリエンテーション」

〇夏休み前の「特別貸し出し」

年度初めには全学級に「図書館オリエンテーション」を入れましょう。

「図書館オリエンテーション」は国語教科書の初めの方で小単元として載っていることがあります。子どもたちに教科書に沿って解説し、全教科の1年間で使える図書資料を紹介します。

 先生も紹介する図書資料を見ると参考になります。メモを取る先生もいらっしゃいます。

司書教諭の先生と相談をして、内容を決めます。

 夏休みには普段より多く本を借りられる学校も多いでしょう。

担任の先生も読書感想文を宿題に出す学校・学級もあるので、夏休み前に本を借りてほしいという気持ちがあることが多いです。

休み時間に全校の子どもが多くの本を借りに来ても、相談にも乗れないし、パソコンによる貸し出し作業も大変です。

学校司書も大変ですが、図書委員会も借りる子どもも。

夏休み前、特別貸し出しは、学級で来てもらうようにしましょう。

司書教諭の先生に相談をして、「図書の時間」を取ってもらえるとよいのですが、難しいなら、短い時間で貸し出しのみでもよいので、学級でまとめてきてもらいます。

「学校図書館を使ってもらえない」本当ですか?

学校図書館は施設(空間)・図書資料・司書のことです。

単元に合わせて教室に図書資料を貸し出していれば、「学校図書館を使っている」ということになります。

学校図書館に来ることだけが「学校図書館を使う」ことではないのです。

調べ学習をする時に役立つ本やサイトのパスファインダーを作成しておくことも有効です。

例えば、SDGsを学習している6年生のために、廊下に関連図書を置く、SDGsを調べられるサイトをICTの共有資料にいれておく、又は廊下にキーワードと共にQRコードを貼っておくと便利です。

役に立つサイト

図書館の4要素について詳しく解説します。それぞれの使い方の実践例もあります。

学校図書館の4要素 ▶

 「割り当て」というのは音楽室や体育館、図書館など学校の特別教室を利用できる時間を、利用する学級が重複しないように曜日と時間を各学級に割り振ることです。

 図書館にも割り当てがある学校が多いです。割り当ては必ず使わなくてはいけない、というより「自由に使ってよい」という感じで、図書館の割り当てに必ず学級がくるわけではありません。

 低学年は慣例として割り当て(週に1回程度)に図書館に来て、図書の時間を過ごすことが多いですが、高学年になると、急に図書の時間を取らなくなることが見受けられます。

 「図書の時間」は国語の時間に換算することが多いですが、他教科(社会や総合的な学習の時間など)に利用することも有効だということが先生方が認識していないことも多いです。

図書館割り当ての活用法

  • 図書の時間として使う
  • 他教科で調べ学習で使う
  • 学活などの活動で広いスペースと大きな机を使う
  • お楽しみ会や百人一首大会などイベントに使う

最初の図書館割り当ての日は「学校図書館オリエンテーション」を行いましょう。

国語の最初の方に図書館の使い方や分類についての単元があるので、先生が教室で終わらせる前に声をかけます。

「学校図書館でやってもらえるなら助かる」という先生が大多数です。

役に立つサイト

各学年のオリエンテーションのやり方をシナリオ付きで詳しく解説しています。ダウンロードできる資料もあります。

学校図書館オリエンテーション ▶

司書教諭の先生に相談して、毎年の恒例にすることを提案すると、司書教諭の先生から他の先生方に周知してくれるようになります。司書教諭の先生もご自分の「学校図書館の業務」がひとつ明確になるので、提案が有難いことがあります。

せっかく図書館に学級が来ても、本を借り換えだけで帰ってしまう💦これでは「図書の時間」ではないですよね💦

「本を借り換えだけにくる」大賛成です!

「図書館に来る」ということだけでも大変有効です!

たとえわずかな時間でも図書館に来る、ということは先生や子どもが「読書の大切さ」を感じている証拠です。

子どもたちはどのような本を借りていますか?発達段階にあった本や学習に関連する本を借りているでしょうか?

マンガが多い本、イラストが刺激的な絵本、学年に合っていない本を、考えずに取り換える子どもはいませんか?

子どもの選書に問題があれば、先生にお伝えしましょう。

学校司書にできること

  • 読み聞かせをする
  • 本の紹介をする
  • 読んで欲しい本をラックなど目立つ所におく
  • 読んで欲しい本のリストを配る
  • ポップや帯で読んで欲しい本をアピールする

せっかく図書館へ行く、という気持ちのある先生なら、「きちんとした選書の必要性」が伝わるでしょう。

先生への進言のシナリオ

「きちんとした選書をすると、このクラスの読書力が格段に上がると思います!図書館に来ていただいているのに、もったいないといつも感じていました。

先生はこの「本を借り換える時間」はどのくらい、何分くらい取れますか?

学級担任

その後、やりたいことがあるから15分かな

そうすると読み聞かせは難しいので、単元に合わせた本とか行事に合わせた本の紹介をしてから本を貸し出してもいいですか?時間は3分くらいいただいても大丈夫ですか?

この前、椋鳩十が終わったみたいなので、椋鳩十の本をたくさん読んで欲しいと思います。

絵本も大きな字の本もあって、手に取りやすいと思います。」

と言って、少し学校司書の時間をいただけるとよいです。

 繰り返していくと、先生も子どもたちの選書の変化に気づいて、「今日は20分くらい大丈夫かも」とか「今日は予定より授業が進んでいるから、1時間まるまる図書の時間でもいいかも」「来週来ないことにして、今週は1時間いられます」と学校図書館の必要性と学校司書の熱意を感じて時間が延びるかもしれません。

時間に合った、学年に合った本を読み聞かせするとよいです。

貸し借りだけの時間しかどうしても取れない場合

本を選んでいる子どもに静かにしてもらい、本の紹介をみんなに聞こえるようにお話します。

「5年2組さん、本を選びながら聞いてください。ここに国語で学習した椋鳩十の本を置きました。お薦めは「マヤの一生」です。戦争時代は犬を飼ってはいけないので、飼っている犬を次々に処分するという悲しいことが起こっていました。家族同然で飼っている犬を処分されるなんて、今犬を飼っている子もそうでない子も、その家族の気持ちを想像できると思います。椋さんの本は、命、平和、動物や自然などをテーマに描かれています。この厚い本の中には小さなお話がたくさん入っています。興味のあるお話を読むのもよいですね。「金色のあしあと」も最高です。絵本もありますから、是非読んでくださいね」と声をかけます。

 

本を選んでいる子に「何を探しているの?」「困っている人はいませんか?」と小さな声で語りかけるのも有効です。

 学年に合っていない本を手にしている子どもには、同じまたは似たテーマの別の本を紹介します。

役に立つサイト

読み聞かせのやり方から選書の仕方を詳しく解説し、各学年に合った本を紹介しています

読み聞かせ ▶

子どもたちに「今、読んで欲しい本」を展示しましょう。それは子どもにとっても「今、読みたい本」です。

テーマの展示の設置|学校図書館 ▶

 学校司書の皆さんも日頃、色々工夫して、実は案外「学校図書館を使ってもらえてるのかも」と発見があったのではないでしょうか。

学校図書館で図書の時間、だけではないです。

学校図書館の使い方は先生によって大きく異なります。

「この学年は使わない」とか「この学校は図書館は利用しない」ときまりはないです。

学校や校長先生、司書教諭により、学校図書館の在り方・理解度に違いはありますが、肝心なのは学級の先生です。

「もっと学校図書館へ行きたい」と思っている先生は、経験上、確実にいらっしゃいます。

先生方は忙しそうでなかなか話しかけにくいかもしれませんが、まずは元気に笑顔で挨拶から。また廊下を堂々と闊歩して、先生や子どもがどのように過ごしているかを見て、廊下に学校図書館からのお知らせを貼るスペースを探しましょう。

学校図書館からのお知らせや、単元にあったお楽しみなど貼ってもよいか尋ねます。

もし学校図書館が空いている時間があれば、学校司書の貴重な作業時間に充てましょう。

学校司書が何をやってくれるのか、何ができるのかが分からない先生が多いです。

「教職員版 図書館だより」を発行するのも有効です。

「雨で急に体育がなくなった時とか、図書館が空いている時間はどうぞ来てください」とお伝えしておくと先生方も安心します。

 学校司書は【学校図書館法】というしっかりとした後ろ盾の下で働いています。学習指導要領のほとんどの科目に「学校図書館の利活用」が明記されています。図書の専門家として学校教育に服務しています。

役に立つサイト

学校図書館法・学校図書館ガイドラインなど学校図書館の法的位置づけが分かると自信を持って先生方に話しかけることができます。

学校図書館の法的位置づけ ▶

学校の図書館の司書なので、【学校目標】は意識しましょう。

皆さんの学校の【学校目標】を明日、確認してください。

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