【読書への壁が高い子に】
現役学校司書が実践した、子どもへの本の手渡し方!

教員免許、司書、司書教諭の資格を持つ、現役学校司書がお届けする【お役立ちサイト】です。学校司書が認知されていなかった頃から地道な活動で、ようやく学校のチームの一員に!実践とダウンロードできる資料も満載です。

学校司書の大切な仕事のひとつ、読書力の向上のお手伝いがあります。

手だてとして、図書の時間では、学習の単元や季節、行事など、子どもに「ちょうどよいタイミング」の本を読み聞かせをして、関連する複数の本を紹介します。

すると子どもは紹介した本に群がり、その中から本を選ぶ子どもが多いですが、そうでない子もいます。

そーそー、なかなか選べなくて、うろうろしている子がいるのよね。「早く選んで座りましょう」と言っても、お友だちとおしゃべりしてたりして困る💦

実は「選ぶ」ということは難しいのです。別にお金を払うわけでもないし、間違えたら取り換えればいいから、「とりあえず選んで」と思うんですが。

読書の時間になっても、なかなか本が決まらずうろうろしている子、低学年なのにかわいらしい表紙に魅せられて難しい本を手に取る子、いつも料理やスイーツの本を選ぶ子には声をかけます。

ディズニーなど表紙が魅力的だけど、中は低学年には読むのが難しい本を手に取る子がいました。ただ絵だけを見て終わるか、もし本当に読もうと思っても、途中で挫折すると読書すること自身がマイナスのイメージになってしまいます。

「これは難しいから、お勧めしませんよ。もし海賊の本がいいなら、こっちの本はどうかな」と低学年に最適な「かいぞくポケット」(作/寺村輝夫 絵/永井郁子 出版/あかね書房 1989年6月)を手渡しました。その子は図書の時間には読み切れなかったので借りていきました。「おもしろかった?」とたずねたら「最初がワンピースに似てた。おもしろい。」と言っていました。次の図書の時間には2巻を借りていきました。これは嬉しい!!

本を提案する時の裏技

「この本、読んで欲しいなぁ」と思う本を手渡しする時は、内容とおもしろい所を話して「あ、今日は珍しく1巻がある!人気だからいつもないんだけど。途中の巻を読んでも面白いけど、やっぱり1巻から読むと色々エピソードも分かるし、いいよね。」と「ラッキーだね!」とアピールします。

そして、子どもの感想は最強です。

「この本を読んだ子が ”ワンピースに似てる。おもしろい。”と言って、次の週は2巻を借りて行きましたよ。」と言うと、案の定、次に借りたいと思う子がでてきます。

これまでの読書傾向や習い事や好きなことを聞いて、興味のありそうな本の中から、おもしろそうな、絵や写真が多めの本を手渡してみます。

マンガは手に取りやすいかもしれませんが、読書力を上げる本としてはあまり効果を発揮せず、また、その後に続く本の提供が難しいので、オススメできません。

複数、用意しましょう。1冊持ってきて「どうぞ」と手渡すのではなく、選ばせてあげるのです。「どれがいい?」と。「どれも、いまいちだな」と手に取らないこともありますが、「この中だったら、この本かな」と手に取ることもあります。

あとは、その本の力を信じて祈るばかり・・・

どうしても選んでもらえない子には、一緒に読める本を選びます。

例えば「錯覚」「トリックアート」や鏡がついている不思議な絵本のような、視覚に訴える本を手渡してみましょう。もし手に取ったら、自分の席に座るよう促します。

最初は一緒に本を楽しみます。その時に、説明文も一緒に読むか読んであげて、絵の見方などを理解します。絵だけを見て楽しむより、説明文を読んだ方が、もっと楽しめることを植え付けます。

頃合いを見て、「じゃあ、先生はあっちに行くね」と、その後は自分で楽しんでもらいます。

次の図書の時間もうろうろしていたら、再び視覚に訴える本でもいいし、なぞなぞの本も有効です。

なぜなら、なぞなぞは字を読まないと楽しめないからです。

周りを巻き込んで、一緒になぞなぞを楽しむうちに、その周りの子どもがなぞなぞの本を借りたがります。それに触発されて、本を選べない子もなぞなぞを手に取ります。

自由読書の時間は、どんな本を選んでいるのか席を回りながら確認しましょう。

学年に合った本や発達に見合った本を選んでいたら「本の選び方が上手ですね」と声をかけてあげるのもいいです。時間内に取り換えてしまうことを避けられるかもしれません。

カウンターで貸出手続きをする時にも「面白そうな本だね」や「先生もこの本大好き」「読んでみたかった本なんだ。今度感想聞かせてね」と言ってあげると、読書へのモチベーションが上がります。

実は、読書指導と選書指導が大切です。

役に立つサイト

「図書の時間」は読書習慣にとても大切です。ただ図書館に来るだけでなく、効果的な時間を過ごしましょう。

図書の時間 ▶

高学年にも「図書の時間」を! ▶

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