本は「日本十進分類法」で並べて整理しますが、分類記号では表現が難しいものや、色々な分類の図書をあるテーマやきまりでまとめて「別の所へ置く」方が利用しやすい場合があります。

それが【別置】で通常【別置記号】をラベルに記します。

例えば、公共図書館では「児童書」や「文庫」や「郷土資料」を別置してあるのを見かけることがあると思います。

学校図書館は「学校」なので、学校独自の【別置】があります。

別置の例

校種や実態により、別置する本が変わることがあります。

小学校の場合

  • 絵本
  • ちしきの本
  • むかしばなし
  • 郷土資料
  • 文庫
  • 図鑑

絵本

絵本は「絵」なので「画集」などと同じ7類に扱われそうですが、公共図書館も、学校図書館も絵本は「E」という記号をつけて別置していることが多いです。特に低学年が自由に手に取って読めるように、畳やジュータンを敷いた「絵本スペース」を作っている学校も多く見られます。

【日本の絵本】と【外国の絵本】と分けて置くこともあります。

絵本の排架は「書名順」なのか「絵の画家の名前順」なのか「文の作者の名前順」なのか、よく議論されます。

書名順にした場合

  • 〇子どもでも探すことができる
  • △書名を間違えて覚えている場合は探せない
  • △「ねずみくんのチョッキ」と「また!ねずみくんのチョッキ」の排架場所が違う

絵の画家の名前順にした場合

  • △子どもは探すことが難しい
  • 〇「ねずみくんのチョッキ」と「また!ねずみくんのチョッキ」を一緒に置くことができる
  • 〇画家を意識させることができる
  • △くすのきしげのりさんの作品をまとめて置くことができない
  • △「大村百合子さん作品」と「やまわきゆりこさん作品」を一緒に置くことができない

文の作家の名前順にした場合

  • △子どもは探すことが難しい
  • 〇9類の本を探す時と同じ
  • △「こぶたくん」や「きょうりゅうたち」などがアーノルド・ローベルさんとは排架場所が違う

ちしきの本

「ちしきの絵本」は「科学読み物」を読み始める大切な本です。

本来4類に排架される本の中に、絵本の近くに置き、自然に低学年にも手に取るところに置くと効果的です。

「ちしきの絵本」を全て別置するわけでもないので、見極めます。

ちしきの本を別置にした場合

  • 書誌データはそれぞれの分類(植物や動物等)を入力することで、蔵書の分類別冊数にカウントできる
  • パソコンなど図書検索の時に「別置されている」ことが分かるよう、排架場所に「別置」や「ちしきの本」と区別すると、本来の分類の棚ではなく、別置だということが分かり探しやすい

むかしばなし

「むかしばなし」の絵本は、絵本の中でも分けて置くことが多いです。

【日本の昔話】と【外国の昔話】に分けておくと、利用しやすいです。

【民話】は3類に排架するのか、「むかしばなし」と一緒に置くのか、議論します。

郷土資料

郷土について「総合的な学習の時間」や創立記念日などで調べることがあります。

学校図書館も郷土資料を保存しましょう。どこか廊下の隅に埃をかぶっていませんか。もう出版・製本されることはない貴重なものも多いので、まとめて置いておくとよいでしょう。

文庫

文庫は9類の文庫と一緒に排架すると、埋もれてしまうことがあります。

しかし、同じ作品でも、表紙が魅力的だったり、軽くて手軽に持ち運べたり、文庫は「大人みたいでかっこいいイメージ」などの理由で、文庫を手に取る子どももいます。

また、「青い鳥文庫」など子どもに人気の本と一緒に置くことで、文豪の作品の文庫も日常的に目にして、いつしか手に取る機会が訪れるかもしれません。

各学校の本棚の事情や読書習慣など、学校の実態に合わせて決めましょう。

図鑑

図鑑は、学習で使う時に「貸出中で図書館にない」ということを避けるため、「禁帯出」(貸出禁止)にすることが多いです。

予算と学校の規模にも関係しますが、植物や動物、乗り物などの図鑑シリーズを1セットは常に揃えておきましょう。

もし余裕があれば複数セットあると安心です。

その「禁帯出」にした図鑑は、それぞれの分類に排架せず、百科事典と共に、0類に「別置」すると利用しやすいです。

子どもは図鑑が大好きです。入学して、本を借りることができるようになった時、小さな体で重たい図鑑を嬉しそうに抱えてカウンターに持ってきて、大喜びで借りていく姿を何度となく見たことがあるのではないでしょうか。

「禁帯出」にする図鑑を別置にして、貸出できる図鑑を分類に排架すると、知的好奇心を刺激することができます。

別置記号

公共図書館の「別置記号」は、参考図書は「R」など、ローマ字表記されているのを見かけることがあります。

学校図書館は子どもが図書を「探せる」「戻せる」図書館にする必要があるので、あまり本の情報を消さない程度の大きさで、単語で表すとよいでしょう。

絵本は「E」で揃えることが多く、本を返すことができるように、排架のきまりに合った頭文字(書名順なら書名頭文字・作家順なら作家の名前の頭文字)も背に記します。

その他は「ちしきの本」や「むかしばなし」など、別置のテーマを背に記すと分かりやすいです。

別置する図鑑は百科事典と同じ0類のラベルを貼るなど、貸出可能な図鑑と区別できるよう、また本来の分類の棚に戻されない工夫をします。