もくじ
- はじめに・・・
- 大切①「子どもの名前は覚えます」
- 大切②「本は必ず両手で受け渡しをしています」
- 大切③「『○○の本ありますか』と聞かれたら、まず『あります』と答えます」
- 大切④「子どもが登校している時間は、図書館を開館しています」
- 大切⑤「コンシェルジュだと思っています」
学校司書って楽しいですよねぇ!
現役の学校司書です。教員免許と司書と司書教諭の資格を持っています。
子どもと本の「かけはし」になるために学校司書になりました。
私が子どもの頃は、学校図書館に学校司書はいませんでした。
もし、こんな学校司書が図書館にいたら、もっと本を好きになって、もっと本を読んでいただろうなぁ、という人になりたくて、この仕事に就きました。
実際に学校司書になってみると、奥が深く、やりがいがあり楽しくて、自分も成長できる職業だと分かりました。
学校司書は、子どもと本 だけでなく
- 先生と子どもと本
- ご家庭と子どもと本
- 学習と子どもと本
など色々な「かけはし」になることも分かりました
子どもたちにとって、その学校に勤務している限りずっと「替わらない先生」です。
担任の先生は翌年替わります。専科の先生も替わらないことが多いですが、家庭科や音楽などは高学年になってから担当されることが多いです。
長いスパンで子どもの成長をみることができる数少ない先生といえるでしょう。
そんな学校司書として日頃、大切にしていることをお話しします。
【子どもの名前は覚えます】
全校の子どもの名前は覚えます。顔と名前を覚えることは苦手でしたが、よく休み時間に図書館に来る子、掃除をやってくれるクラスの子、低学年、高学年と順に覚えていきました。
子どもも、名前を覚えてくれていない人からのお勧めされるより、「○○さんには、この本」と手渡しされた本の方が、心に届くのではないでしょうか。
不思議なことに、名前を覚えた子は、読書傾向も頭に入ります。
私たちも、「司書さん」とか「図書館の先生」と呼ばれるより「○○先生」と名前で呼ばれる方がうれしくないですか?子どもも同じだと思います。
掃除に来るクラスの子は、図書館や学校司書に慣れ親しんでる気がしませんか?
掃除とはいえ、図書館に来る頻度が必然的に高くなるので、図書館が身近に感じられているようです。やはり、来館の回数と学校司書とのコミュニケーションは大切です。
【本は必ず両手で受け渡しをしています】
「本はみんなの宝物、大切にしましょう」と図書館開きのオリエンテーションで話しています。
レファレンスして本を渡す時、必ず両手で渡しています。子どもから手渡しされた時も両手で受け取ります。貸出カウンターでも、バーコードを読み取り、返却期限の日にちの印を押したら、相手の方へ表紙を向けて両手で渡します。
本は宝物だからです。片手では粗末には扱っているように感じます。
両手で渡すと、子どもも両手で受け取ります。
ひと手間ですが、慣れると自然に身に付きますし、何しろ子どもも丁寧に扱ってくれます。
【「○○の本ありますか」と聞かれたら、まず「あります」と答えます】
「学校図書館に行けば何とかなる!」と思ってもらいたいものです。
課題解決の手段の1つに「学校図書館」を思いついてもらいたいものです。それには「学校図書館は課題解決に役立つ」という経験、印象を植え付けるようにします。
あると思うけど・・・とりあえず「ありますよ!」
例えば「ウーパールーパーのことを調べる本はありますか?」と聞かれて「あったかなー・・・」という時やパソコンで図書館ソフトで蔵書検索にも出てこなかった時にも、即「ありますよ」と答えます。(「ウーパールーパーの本」と言っているので、図鑑を求めているわけではないと判断しています。)
子どもに「やったぁ、あるんだ♪」と喜ぶ経験をさせます。
「ウーパールーパーは水の生き物だから481の所にありますね」と答えながら、4類に歩いていくまでに必死に考えます。481の棚に向き合い、目を皿のようにして探します。ウーパールーパーが書名になっていない本でも目次を見てみます。案外、子どもの方が先に、表紙に亀など水の生き物と一緒にウーパールーパーの絵が描いてある本を見つけたりします。「あら、先生より早く見つけたわね。見つけるの上手ですね」とか、ずるい時には「ほら、あったでしょ」と言ってみます。または図鑑を案内しています。「あった」と喜んでくれる場合もあります。ざんねんな生き物図鑑に載っていたりもします。
あるかどうか分からないなぁ・・・とりあえず「ありますよ!」
「折り紙でメダルを作りたい」と言われて、思いつかなくても「あります」と答えています。75の棚の折り紙の本に的確な本が見つからなかったら、お花やメダルに近いものが作れる本を紹介したりします。貸出中ということもありますからね。
「お花じゃなくて、メダル!」と納得いかなかったら、インターネットでメダルの折り方を調べてあげています。
図書館の情報は本だけではないからです。サイトを案内し、低学年だったら一緒に折り紙をします。
その本は、ないなぁ・・・の場合
絵本や物語の本で題名を言われて明らかに蔵書にないものは「ない」と答えますが、それだけでは終わらせません。
テーマが似た本や作者が同じ本を紹介しています。
例えば「だるまちゃんとてんぐちゃんはありますか」と聞かれた時、「ないです。でも同じ加古里子さんの作品はありますよ」と案内します。
それから子どもが書名を間違えることが往々にしてあります。
明らかに「ない」と思っても「前、ここにあったのに」と言われることがあります。書名が全然違ったり、何かとごちゃまぜになったりすることがあるので、「この図書館で見たことある?」と一応尋ねています。
【子どもが学校に登校している時間は、図書館を開館しています】
子どもがせっかく図書館に調べにきたのに、鍵が閉まって、灯りが消えていたらがっかりしますよね
学校司書は非常勤で、勤務時間に制限があることが多いと思うので、「できるだけ」です。
子どもは授業中に、休み時間でも図書の時間でもない時間にやってくることがあります。
例えば「図工でカブトムシを描きたい」からカブトムシの形状を見に来たりします。その時に開館していないと悲しい気持ちになります。せっかく勇んで、はるばる図書館に調べに来たのに閉館していることが数回続くと、今後、「図書館で調べる」という選択肢の順位がかなり下がってしまうのは残念です。
私はできるだけ図書館にいますが、もし職員室で仕事をする時は「職員室にいます。声をかけてね」というプレートを、また他の教室で授業支援を行っている時はどこの教室にいるのかを明記したプレートを図書館の入口に提げています。
【コンシェルジュだと思っています】
子どもそれぞれの読書傾向を覚えて、ステップアップできるように、その子にあった本を手渡しします。【ソムリエ】でもあります。
「学校司書は図書館の管理人」と言っているのを聞いたことがあります。「予約しないで来た」とか「勝手に使われた」と嫌な気持ちになる学校司書もいます。それは残念な考え方です。
学校図書館は私たち学校司書が整備をしたり、授業支援を考えたり、仕事をするスペースですが、学校の子ども、教職員の施設なので、当然、学校司書以外の人も使用します。
利用する人たちが気持ちよく使えるように、整備をします。複数のクラスが一度に同じ時間に利用しないよう、学校司書に一言もらえったら、よりスムーズです。図書館を「場所」として利用する場合でも、学校司書にできることを考えたいですね。
学校司書がいて学級が使う時には、「コンシェルジュ」なので、利用者の希望に応えられるよう努めています。
役に立つサイト
図書館を「施設」「空間」「場所」として活用する方法を解説しています。