学校司書には、自治体によっては免許や資格不問の職業です。子どもと本への「愛」さえあればなれることもあります。

独学や講習会・研修会への参加で、みなさん日々ブラッシュアップし、励んでいらっしゃることでしょう。

私は教員免許と司書教諭、司書の資格を保有しています。これは、知識を身に付けるだけでなく、自分を守る鎧(よろい)のような役目を果たします。

まだまだ学校司書の立場が確立せず、ご苦労されている方もいらっしゃると思います。

心が折れそうな時にも、自分の鎧のおかげで自信を取り戻し、立ち上がれます。

それはどうしてか、子育て中にどのように取得したのか・・・お話しします。

きっかけは、新聞の記事ですが、取得した後に現実を知り・・・💦

法律改正で希望の光が

平成9年に「平成一五年四月一日以降は一二学級以上の学校には必ずおかなければならない」と学校図書館法が一部改正されるという報道がありましたね。

子どもの小学校で図書館ボランティアをしている時に「学校図書館っていいなぁ♡ずっといたいなぁ」と思いましたが、無償でずっと学校図書館にいるほど暇ではないなぁと、週に1度朝読み聞かせをしたら帰っていました。そこにこの法律改正を新聞で読み、「学校図書館にずっといていい職業ができる!」と、司書教諭の資格を取得しようと決心しました。

「通うならここかなと思っていた大学で全て(5科目)の講習がある」「それも無料!(教科書代は別)」「子どもの夏休みに行われる」 と私を後押ししてくれる情報を得て、ますますやる気満々に♪

司書教諭は、そもそも教員免許取得していることが前提です。

科目は

「学校経営と学校図書館」

「学校図書館メディアの構成」

「学習指導と学校図書館」

「読書と豊かな人間性」

「情報メディアの活用」

の5科目ですが、その一部しか受講できない大学もある中で、私の通学圏内の大学は全科目受講できるという幸運に、天から「やっていいんじゃない~?」と認めてもらった気持ちでした。

受講開始♪

片道1時間半は、なかなかハードでしたが、久しぶりに学生に戻った気分で通学しました。新しくできた、年齢や職業さまざまなお友だちと学食やカフェに行ったこともキラキラした時間でした。

資格取得には

5科目10単位修得する

実際には1科目5日間、朝9時から夕方17時までの講義でした。

毎日受講後に小論文を提出し、理解度のチェックをされました。

私の時は

1科目月曜日から金曜日までの5日間だったので、

5科目を一度に受講すると、丸々夏休みが受講で満たされることになり、さすがに子どもや家族に負担が大きいので、2年間に分けて受講し取得できました。

どの講座も学ぶことが多く、特に「読書と豊かな人間性」の講師の先生は、内容もさることながら、「本当に本が好きなんだなぁ」と口調からも感じられて、改めて私も本の魅力を伝える仕事につきたいという気持ちが大きくなりました。

今でも「読書と豊かな人間性」のテキストは手元に置いています。

みなさんのご協力に感謝!

子どもを夏休みの校内の学童に預けたり、家族や友だちに助けてもらったりしました。たまたま友だちが預かってくれていた日に電車の遅延が起こり、学童だったらお迎えに行かれない時間に帰宅した時には、感謝の気持ちと、こんなに周りに迷惑をかけてまですることか?と自問することもありました💦子どもも幼かったので、難しかったことも事実です。司書教諭になりたいというのも、独りよがりだし・・・しかし、今、あの時は取得してよかったと思っています。

蓋を開けてみたら・・・

2年かけて無事に司書教諭取得!「平成15年までに各学校が司書教諭の募集をするのね、さぁ、準備はできたわよ」と思っていたら、なんと、

司書教諭を採用するのではなく、学校内の学級担任の先生で司書教諭の資格保持者が、学級担任と司書教諭を兼任するだけ、と。

皆さんもご存知の通り、現在も、公立はおろか、私立も司書教諭が専任という学校は少なくて、募集は見当たりません。

あれ?という感じで・・・当時住んでいた自治体では学校司書という職もなかったので、夢と計画は空のかなたへ・・・

またまた法改正!ついにチャンス到来!!

引っ越し先でも、学校図書館ボランティアを続けながら、経理のパートに就いていました。

平成26年、学校図書館法で「学校司書を置くこと」と公布されました。

それに伴い、ついに学校図書館で働ける、学校司書の募集がかけられました!

無事に採用になったのは、やはり「司書教諭の資格取得」が大きかったと思います。絶対なりたい!という気持ちが大きかっただけに面接は緊張しましたが、自分の中で司書教諭の資格は自信であり、鎧でもありました。

学校の中でも鎧に守られました

学校の中でも、初めて「学校司書」という人がやってきて、授業支援だとか図書の時間だとか言い出すし、教育委員会からも先生方に「学校司書を使って授業を」と指導が入っても、当然ながら先生方も「学校司書って何をしてもらえるのか」も分からないので、困る気持ちもよく分かりました。

そこで「司書教諭の資格をを持っている」ということを知ってもらうことで、少しは理解していただけるかな、と思いました。

学校司書と司書教諭の仕事は違いますが、「学校司書」という仕事を全く想像がつかない方にとっては、同じ括りに入ると思ったからです。授業支援の提案をする時も、自分の中で学んだことが根拠となり、少し顔を上げることができたと思います。

学校司書は資格不問の自治体と、司書の資格が必須の自治体があります。しかし「司書または司書教諭」と書いてあるのを見たことがありません。実は、鎧だとか言っておりますが、完全防備ではなく、あちらこちらから生身が見えてしまっている不完全な鎧だという気持ちが払拭できないでいました。

「司書の資格、すごいですね」「いえ、持っていません」

学校司書は校内で、略して「司書さん」と言われることがあります。司書の免許を持っていないのに「司書」と名乗る後ろめたさ、また、先生の中には「学校司書は司書の免許を持っている」と思っていらっしゃる方もいます。

○「司書教諭しか持っていません」と言うことに、そろそろ終止符を打ちたかった

○不完全な鎧は、どこが不完全なのか、自分でも分からないことがまた問題でもあること

それが司書資格取得の理由です。

数か月分の月給で

通信教育でも、仕事をしながら司書の資格を取得するのは、なかなか難しいと聞きます。それに学費もなかなかです。私の数か月分の月給がかかります。最長2年在籍できる、しかし1年で取得できなかったら、延長料金がまたかかります。でも、数か月分を支払えば、自分の中の完全な鎧が手に入り(RPGでアイテムをゲットできた時の音楽が流れるのでは?)、このモヤモヤから解放されるのです。

よし!申し込もう!

4月入学のところ、4月より前の期日までに申し込みをすれば、早めにテキストが届いて学習に着手できる、と書いてありました!思い立ったのが2月で、ちょうどいいタイミングでした。実は、別の資格取得(資格マニアではないですが、たまたま)が7月末に試験があり、そちらの勉強もハードでした。しかし、7月末から司書の勉強を始めると、取得にかかる期間が1年から2年といわれているのに8ヶ月しか残りません。自分で「4月から7月は別の資格のための勉強期間」と決め、早々に送ってもらったテキストで、春休みに司書の勉強を進めることができました。

それも4月に入ってしまうと、学校からテキストを送付される順番待ちがかなりあるらしいので、優先的にテキストを送ってもらえたことも幸運でした。

通信教育にも試験があります

まずテキストを読み、理解し、吸収し、自分のものとして、レポートを作成します。

レポートはテキストを理解しただけでは難しく、テキストには書いていない課題でした。初めて提出したレポートは、後から考えると、自分でもひどい出来で、「そもそもレポートの書き方から勉強するように」とのご指摘をいただいたくらいです。

レポートを提出すると、オンラインで試験を受けることができました。

試験日は指定された日時で、受けられる科目数も決められていたので、年間通して計画を立てる必要がありました。テキストから知識問題が出題というより、レポート同様テキスト外からの出題も多く、難しかったですが、運よく全て一発合格できました。

図書館に決められた年数従事していた人や司書教諭の資格を持っている人などには、免除の科目があり助かりました。学費もその分、下がりました。私は13科目24単位のところ、2科目免除されたので、11科目でした。

レポートがなかなか通らない💦

だいたい2回目の提出で合格をもらえていましたが、なかなか通らない1科目が、2月に3回目のレポートが落ちました。通信教育HP内の、通信学生の情報交換のサイトを見ると、やはりこの科目に苦戦している学生が多くいることが分かりました。なんとしても、この年度内の3月までに取得したい、と4回目のレポートを提出しました。これまで不合格通知を見ると「これ以上のレポートは書けないのに」と絶望的な気持ちになりましたが、提出の回を重ねる度に、自分でもグレードアップしたものができるので、落ちたことも受け入れることができました。ようやく完成した4回目のレポートを提出できたのは3月に入ってからでした。

添削していただくのにも大変時間がかかり(先生によっては2ヶ月以上)、果たして3月中に添削していただけるか、それが不合格だったら・・・成績通知を開く毎日でした・・・

3月31日になってしまった・・・

成績がつかないまま、3月31日を迎えました。たぶん3月は、駆け込みでレポートを提出する学生が多くいることも、先生方も年度末で忙しいことも想像でき、気持ちは焦っていましたが、誰を責めることもできず、ただただ祈って待つばかりでした。

なぜ、3月までに取得したかったかというと、

自治体へ毎年提出する「次年度学校司書更新申込書」内の、資格欄に「司書資格取得予定」と記入したからです。

これで自分を奮い立たせることもできるし、もし司書資格のある学校司書の中で、何か別のポジションができた時に、真っ先に手を挙げることができると思ったからです。

4月まで持ち越すと、さらに学費を数万円追加しなくてはいけないので、自分にとって、よいことは何もないのです。

それも仕事と家事、子育てに追われながら「8ヶ月間でやる」という無謀ともいえる計画を立てたのだから。

なんと!

3月31日に「合格」の文字が・・・!

「やったぁ」と歓喜の気持ちより、「よかったぁ」という安堵感と、「ありがとう」という家族と先生への感謝の気持ちが大きかったと思います。

なかなかドラマチックな1年でした💦

「まだまだ知らないことがある」という当たり前のことが分かりました。

司書の資格は、令和に入ってから取得しました。時代に即した内容になっていました。

新なアイテムを身に付け「鎧」を丈夫にしたつもりが、生身の方にも筋力がついたように思われます。

「やる気」は負けないくらいあるのですが、

あいにく「センス」というものに恵まれていないので、せめて自力でゲットできるものは積極的にゲットしていきたいと思っています。

そんな私が発信することで、「私にもできそうだな」「楽しそうだな」「このHPの資料をダウンロードして、自分はもっといいものを作ろう」「便利なHPだな」と1人でも多くの方に思っていただけると嬉しいです。

みなさんの方が「センス」と「アイデア」にあふれていると思うので、1つの「ヒント」になるといいなぁと思っています。

それから、安心してください!

学校図書館法がそもそもの私たち学校図書館に携わる者の「鎧」のようなもので、守ってくれています。

学校図書館法や学校図書館ガイドライン、学習指導要領、子どもの読書活動推進に関する法律・・・私たちはこれらの法のもとで働いているのです。

本と子どもたちを、それからこの仕事をこよなく愛する「学校司書」のみなさん、楽しみましょう♪

読んでくださり、ありがとうございました。

著/Andante