「図書の時間」は子どもたちにとって、とても大切です。

そして週に1度、継続的に図書の時間を取ることは大変重要です。

図書の時間の重要性

  • 図書館を利用することが日常になる
  • 図書館の利用の仕方が身に着く
  • 司書が教科の進度や学校生活・季節に合わせて本を紹介できるので、ちょうど「子どもが読みたい・知りたい」タイミングで「火をつける」ことができる
  • 司書と子どもたちと信頼関係を構築できる
  • 子ども一人ひとりの読書傾向が分かり、きめ細やかなレファレンスができて、その子に今、必要な本を手渡すことができる
  • 本に触れ、本の楽しみを知る機会を増やすことができる
  • 毎回、読み聞かせを行うことで、1年で約40冊以上読書をすることになる
  • いつも手元に【読みかけの本】があるようになる

<解説>

図書館の利用が身に着くことは、将来にも大変役立ちます。

信頼する司書からの本の紹介の方が、子どもの心に届くので、コミュニケーションは大切です。

読み聞かせは「読書」に入るので、週に1度の図書の時間に毎回読み聞かせをすると年間40冊以上の読書量になります。

なるほど~!図書の時間って、すごーい!

図書の時間の詳しい過ごし方と「目に見える効果」を解説しています。

 学校図書館法や各教科の学習指導要領にも、学校図書館の利活用が記されています。

また2023年3月に閣議決定された第五次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」を読むと、子どもの読書活動には学校図書館と学校司書の役割が大きく関わっているように読み取れます。

 不読率を改善していくためには、言うまでもないが 子どもと本との出会いをさまざまなアプローチで支援していくことがかかせない。そして そのことこそ、いつの時代にあっても、私たち周りの大人が果たしていくべき最も大切で普遍的な取組みと言えるのではないだろうか。それは、本の楽しさに浸った子ども時代の幸福な体験は、子どもたちが予測困難な時代に立ち向かい、豊かな人生を切り拓いていくうえで必要となる「根っこ」を育むことになると考えているからである。

伊佐治裕子、学校図書館8月号 第五次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」を読み解く P20「すべての子どもたちに本の楽しさを」、公益社団法人 全国学校図書館協議会、2023年8月

参考になるサイト

学校図書館の法的位置づけ 役割と機能 ▶ 

学校図書館法や学校図書館ガイドラインなどを読むと、学校司書の役割や期待されていること分かります。法律は学校司書にとって「後ろ盾」となるでしょう。

うんうん、「図書の時間」は子どもたちのためになりそう!ますます自信を持って「図書の時間」をおすすめできますね!

「図書の時間」は自由時間・おしゃべりタイムではありません。

子どもたちの貴重な「学習の時間」です。

図書の時間のポイント

  • 読み聞かせを行う
  • 指定席にする
  • 無言(質問のみ声を出してよい)
  • 全員借りる
  • 自由読書終了⇒貸出の時間 の合図はオルゴールで静かに伝える

工夫して、様々な充実した「図書の時間」を過ごしていると思いますが、「図書の時間のポイント」のうち、1つでも実践していない場合は、是非、取り入れてみてください。子どもの様子が驚くほど変わります。

指定席にすると、仲良しさんと一緒と隣の席より、「学習の時間である」という意識が強くなります。

それから、司書にとっても、子どもに声をかける時に、もし名前を覚えていなくても、席で誰だか分かるので、名前を呼んで話しかけることができるのもメリットの1つです。

「借りる」ことは「本を選ぶ」という学習になります。案外「選ぶ」ということは高度なことです。

「つぶやき読書」をしたい子は、離れた席を用意します。

「図書館の割り当て」の時間は、「図書の時間」にしてもらえるよう、時間割を組んでもらいましょう。

特別教室(図書館・音楽室・図工室・体育館など・・・)には「割り当て」といって、どこの学級が何曜日の何時間目に使えると配当の時間が決まっています。図書館の割り当ても、各学級1週間に1時間割り当てがあると思います。

低学年は「図書の時間」に図書館を利用し、本の貸し借りを行う学校も多いですが、高学年は教科数も増え、教科担任制の時間もあり、担任の先生の時間が少なく、「図書の時間」を毎週時間割に組み込むことが難しくなることがあります。

図書館の割り当てには、「図書の時間」だけでなく、様々な教科で、調べ学習などを行うために図書館を利用することもできるので、高学年も図書館の利用を促しましょう。

関係ブログ

高学年にも「図書の時間」を! ▶ 

1年生から6年生と特別支援級、学校の全学級が毎週1週間、「図書の時間」があります。着任当時は低学年だけでしたが、どうして全学級が来るようになったのか、お話しします。

年度初めに各学級の先生を回り、1年間で図書館利用の計画の提案を行います。

初めて、その学年を受け持つ先生もいらっしゃいます。どんなことが図書館でできるのか、分からないこともあるでしょう。

過去の資料・記録、できたら子どもの成果物を見てもらい、各教科の単元に合わせて図書館にできることを説明します。まだ先生方も年間計画を立てていない時期なので、図書館利用の計画も入れやすい時期です。

毎週、先生方を全員回り、次週の図書の時間の確認をします。

学習の進度の確認と、学年行事などで割り当ての時間に利用することができない場合の調整を行います。

低学年でも、確認をしないと図書の時間を入れるのを忘れてしまう先生がいます。声をかけることが大切です。

ICTが発達しても、図書館を利用する力、図書館を身近な存在と感じることは、これからの人生においても大いに役立ちます。

そして「読書の効果」(集中力・読解力・語彙力・想像力を高める、など)以外に、「目に見える効果」を紹介します。

週の最初に図書の時間を入れた学級の先生に「一週間、落ち着いて過ごすことができる」と言われたことがあります。

目に見える効果

  • 「読みたい」「知りたい」タイミングで本を借りることができるので、前向きな気持ちで読書できる
  • 司書が「読んでほしい!」と紹介した本が、読み終えた子どもの手から、読みたい子どもの手へと渡る
  • 子ども同士、本を勧め合う姿が見られる
  • 毎週本を取り換えるので、延滞や紛失が劇的に減る
  • 子どもは常に本を借りている状態なので、朝読書やテストが早く終わった時など、手持無沙汰になることなく、隙間時間にも読書をすることが日常になる

図書の時間のルーティン(45分間)

10分間着席・挨拶
学校司書による読み聞かせ・ブックトーク
5分間カウンター前に整列して、パソコンで本の返却を司書がする
5分間本を自分で戻し、次に借りる本と、今読む本を選ぶ(質問以外は無言)
19分間自由読書(指定席・無言読書)
5分間オルゴールの合図でカウンター前に整列し、本の貸出を司書がする
1分間全員借りたことを確認し、教室へ戻るため整列・挨拶
授業1コマが45分間の場合

入り口とカウンターと読み聞かせをする位置によって、本の返却を「読み聞かせ」の前か後か、子どもの動線を考えて決めましょう。

「読み聞かせの後」の場合は、自分の席か分かるところに本を置いてから、読み聞かせの場所へ行きます。

読み聞かせ中に本を持っていると、いじったり、開いたり、落ち着きません。

読み聞かせは読書です。

図書の時間に読み聞かせた本の数は、子どもの「読書した本」に換算されるので、年間30回読み聞かせを行うと30冊読書したことになります。

読み聞かせは高学年にも大変有効で大切です。

読み聞かせをした後に関連図書を紹介しましょう。子どもたちが飛びついていきます!

役に立つサイト

読み聞かせの大切さ、選書の仕方など詳しく解説しています。

読み聞かせ ▶

図書の時間をルーティン通りに過ごすことができるようになったら、子どもにアウトプットさせてみましょう。

学校司書が本の紹介をするように、子どもにも本の紹介をしてもらいます。

授業ではないので、希望者のみがよいでしょう。

先生によっては、「本の紹介」の単元を、「図書の時間」にやる場合があります。

その時には、選書の制限(今回は昔話とかノンフィクションとか)や紹介の仕方は先生にお任せしましょう。依頼されれば学校司書が行います。その際には、「めあて」と「ねらい」を把握しておきましょう。

子どもに本の紹介をさせる効果

  • 紹介することを意識した読書ができる(精読できる)
  • 紹介することを意識した選書ができる(挑戦する気持ちになれる)
  • 表現力がつく
  • 友だちが紹介した本を読んでみたくなる(学校司書が紹介するより効果は絶大!)
  • 友だちが紹介している姿を見て、自分もやってみたくなる
  • 友だちの読書傾向やレベルを知ることができて、よい刺激になる

【いつも読みかけの本を手元に】