6年生では卒業後も視野に入れて、公共図書館の使い方をレクチャーしましょう。

5年生では日本十進分類法の第3次区分まで説明していますか?

1度の解説では理解する・身に付けることは難しいので、6年生でも再度解説しましょう。

国語の初めの方に「図書館の使い方・分類」などの単元があります。教科書に合った内容で提案をすれば、たいてい1時間、学校図書館に来てもらえます。

「学校図書館の大切さ」が子どもにも先生にも分かってもらえるような「図書館オリエンテーション」にして、また1年間、学校図書館の活用を授業に取り入れてもらいましょう。

オリエンテーションの内容

  1. 座席の確認
  2. 挨拶・自己紹介
  3. 読み聞かせ
  4. 図書館の使い方おさらい
  5. 分類について(シナリオつき・分類表ダウンロードできます)
  6. 公共図書館の使い方
  7. 読書記録ノートの説明
  8. 借りる本を選ぶ
  9. 本の貸出手続き
  10. 帰りの挨拶

座席は指定席にしましょう。机に出席番号の札を置いておきます。全学級で使用できる番号札を作っておきます。

もちろん特別支援級の子どもも含めた出席番号です。

仲良しさんと一緒に座るのではなく、座席指定にすることで、図書の時間も「授業」だと意識づけになります。

また、司書が子どもを名前で呼ぶことができます。もし顔と名前が一致しない場合でも、名簿を見れば名前を呼んで声をかけることができます。

本を勧める時、注意する時は名前を呼ぶと効果的です。

日直さんに挨拶の号令をお願いします。今後もこの始まり方だ、ということが分かります。

司書が昨年度と同じ学校であっても、改めて自己紹介をしましょう。新年度が始まった、と新しい気持ちで図書の時間を迎えることができます。

6年生はSDGsについて、平和について考える機会が増えます。

その「種まき」になるような本を読むことをお勧めします。

【わたしのせいじゃない せきにんについて】(文/レイフ・クリスチャンソン 絵/ディック・ステンベリ 訳/二文字 理明 出版/岩崎書店 2017年2月)

大人でも胸が締め付けられる思いがします。

大型の本があるので、用意しましょう。

そろそろ学校図書館の使い方や学校司書にも慣れているでしょう。

ICTを活用する場面も増えていると思いますが、調べ学習の出典の書き方や著作権については学校図書館からもしっかり発信していきましょう。

  • 静かに過ごす
  • 分からないことがあったら司書に聞く
  • 知識を得たら、図書館に置いてある調べ物カードに書く
  • 本は期限までに返す(次に借りたい人が待っている)

調べ学習カードには出典を書く欄を作り、常に意識し、卒業するまでに習慣になるとよいです。

役に立つサイト

5年生の教科書には日本十進分類法の第2次区分まで説明があり、5年生のオリエンテーションですでに解説していると思いますが、再度、確認しながら解説しましょう。

日本十進分類法は公共図書館も卒業後に行く中学校の図書館も同じものを使っていると加えると理解しようという気持ちもあがります。

学校図書館の分類の実態に合わせて、話しましょう。

「図書館のラベルには数字が3つあるけど?」と消化不良を起こしてしまいます。学校の図書館に合わせて解説・説明を加える必要があります。

「日本十進分類法」はパネルを作成し、ラベルも大きく書いたものを見せると効果的です。

シナリオは5年生の時と、ほぼ同じです。繰り返すことで理解が深まります。

分類の説明シナリオ

図書館の本は「日本十進分類法」というちょっとかっこいい名前のきまりで並んでいます。

本の中身によって0類から9類の10に分かれていて、さらにまた内容によって10に分かれています。それで本のラベルには2桁か3桁の数字が書いてあるのです。

2類とか3類とか棚の数字は、ラベルの一番左に書かれている数字のことです。このラベルは913と書いてあるので、一番左の数字の9の棚にある、9類の本だということが分かります。

ではどうして2桁とか3桁になっているのかというと、1桁だけでは本を探すことが難しいからです。

例えば、皆さんがよく使う4類は、棚が多いですね。あの棚の端から「カブトムシ」を探そうとすると大変です。皆さんもカブトムシはだいたいここら辺にあるな、と分かっていると思います。それは2桁、3桁で整理されているからです。

スーパーマーケットを思い浮かべてみましょう。肉・魚・野菜・文房具と分かれていますよね。それが1桁目だと思ってください。次に、肉の中でも、牛肉・豚肉・鶏肉と分かれています。それが本でいうと2桁目。鶏肉でもモモ肉・ムネ肉・ササミとごちゃまぜに置いてないですよね。3桁目です。(ひき肉は別置)

(分類表を見せて)4類はこのように分けて排架しています。さらに48動物学の中には、虫も哺乳類も魚・鳥などあります。3桁目でそれらも分けてあげないとあそこの棚を全部探すことになってしまいます。

これは4類だけではありません。皆さんが本を探している時に何気なく足を向ける方向が、ちゃんと分類されている書架に向かっています。7類はスポーツと音楽、工作など分かれているし、9類も詩や日本の物語、本当にあったお話と分かれているのです。

さて分類で分かれている、と言っても、5年生の時は本の分類をリンゴに例えて話しました。同じリンゴでも果物のリンゴとリンゴジャムとリンゴゼリーはそれぞれ違う所にある、とお話したこと覚えていますか?

実は、図書も同じです。「先生、犬犬、犬の本どこ」とだけ言われても困るって言いましたよね。動物としての犬のこと、犬の飼い方、盲導犬、フランダースの犬(物語)は別々の所に置いてあるからです。動物として犬を調べる図鑑は0類(又は4類)、犬の飼い方は6類、盲導犬は3類、フランダースの犬は9類にあります。他によい例があったら教えてください。

さあ、この913とか489とかテストに出ますからねと5年生の時にジョーダンを言いましたが、いよいよ6年生のテストには出ます。ウソウソ。

皆さんが本を探せるために、本を正確な場所に戻しましょう。分からなくなったら先生に聞いてください。

元の場所に戻したら、もう1度読みたくなった時にすぐに見つかるし、その、面白かった本の続きが、そこで待っていてくれます。自分のためでもあるのです。

6年生の社会科と理科で学習する内容を先取りして、分類と本の場所を示します。総合的な学習や日頃の課題設定の「種まき」になるような本も紹介できるとよいです。

社会科

  • 日本国憲法
  • 日本の歴史
  • 外国と日本のかかわり
  • 国際機関

理科

  • 人・動物の体
  • 植物の体
  • 生き物と水・食べ物・空気
  • 火山・地震
  • 火・水溶液・電気

環境やSDGsとリンクしながら本を紹介すると、幅が広がります。

電気など、科学実験やマジックの楽しい本も紹介しましょう。

これらの本の分類と関連図書を紹介します。社会科と理科の学習より前に興味を持ち、楽しみになっていくところを瞳の輝きで感じることができます。

その時の「借りたい気持ち」を大切にして、どんどん貸してあげましょう。

ダウンロードできます

高学年向け(5年生と同じ)の内容や漢字が使用されている分類表を配って、読書記録ノートに貼ってもらいましょう。実態に合わせて編集したり、分類に関係するイラストを入れたりしてください。PC推奨です。

公共図書館のサイトをICT機器で開けるよう、URLを送信したり、QRコードを利用しやすい所に掲示したり、子どもに公共図書館を身近に感じられるようにしましょう。

公共図書館のサイトで子どもにとって便利なことは

  • 公共図書館に読みたい本があるかどうかが分かる
  • 知りたいテーマでどんな本があるのかが分かる
  • 予約ができる
  • 本の概要の解説がある

実際に興味のある本をオリエンテーションの時間に、サイトを開いて、書名を検索してみるのもよいです。

教科書に「読書記録ノート」が載っています。各学年で、様式が違うので、学年ごとに図書館で用意するとよいでしょう。

担任の先生が作成し、学習の一環で読書を推し進めたい方もいらっしゃるでしょう。逆に、「管理が難しい」「読書記録が面倒で読書自体が面倒になる子どもがいる」などの理由で、「読書記録ノート」に消極的なこともあります。

学校図書館で作成したものを紹介してよいか確認しましょう。

消極的な先生でも「希望者だけ」「義務にしない」などのやり方ならいい、という方もいらっしゃいます。

司書も「読書記録」をつけて、「こんなにたまって嬉しい!」と見せると、やりたくなる子どももいます。「これまで何度も挑戦したけど、失くしちゃったから悪いなぁ」「また途中で面倒になっちゃうかもしれないし」と躊躇する子どももいるので「前のことは気にしない。今やりたいかどうかが大切だから。挑戦することにも大きな意味がある」と背中を押してあげましょう。

小学校の思い出の記録が増えます。色々な色の台紙を用意して、新年度、心機一転、「読書記録にチャレンジ」する気持ちが大切です。

分類の説明の時に紹介した本も貸しましょう。今が「読みたい時」です。

学校司書が「6年生の他のクラスにも紹介したいから貸してあげられない」と言うと、次回に違う本を紹介した時にも「借りられないんだろうな」と思ってしまいます。是非貸してあげましょう。

複本がない場合は、「貸してあげるけど、他のクラスで紹介するまで預からせて欲しい。使い終わったらこの本を届ける」や「来週、絶対貸してあげる」と約束をし、子どもの気持ちを尊重しましょう。

貸出の時間の前に、レファレンスの時間を取りましょう。困っている子がいなくなり、授業の終了時刻に間に合うように貸出の時間に移ります。

本の貸出の時間になったらオルゴールを鳴らします。「貸出の時間です」と大きな声を出すと、静かに本を読んでいる子どもは驚き、「もう、しゃべってもいいのかな」と緊張の糸が切れたように、おしゃべりを始める子どももいます。

初めてオルゴールを合図に使用する時は小さな声で「このオルゴールのちいさな音色が響き渡るほど、みなさんは静かに集中して読書の時間を過ごしていたということです」と褒めてあげましょう。

逆にざわついて音色が遠くの子どもに届かない時は、オルゴールを掌に乗せて歩いてみてください。美しい音色に耳を傾けて、静かになります。ざわつきが大きくて、静かにならない時は小さな声で「聞こえますか?」と聞く尋ねるだけで静かになります。

「なんだろう」という雰囲気になったところで「貸出の時間です。カウンターの前に列びましょう。」と小さな声で指示します。次からはオルゴールが聞こえると列びだし、またオルゴールが聞こえるように静かに過ごすことを覚えます。

ショパンのノクターンがおすすめです。

貸出が終わった子どもは、一度、席に戻って本を読みながら全員が終わるまで待ちます。

全員が終わったところで「忘れ物をしないように立ち上がって、イスをきちんと入れて、出口の前に並びます」と声をかけましょう。ひとつひとつ丁寧に言うことで、子どもも慌てず行動することができます。

並んだことを確認したら、日直さんに挨拶をお願いします。

椅子に座っている時に挨拶をすると、出口に並ぶ時に「先生、名前順?」など再びガヤガヤするので、並んでから挨拶をすること、姿勢よく、心を落ち着けて、静かに廊下へ歩き出すことができます。

貸出が終わったら出口に並んで待った方が時間短縮になる、と考える先生や、椅子に座った状態で終わりの挨拶をしたい先生もいらっしゃるので、事前に確認しましょう。

いよいよ最高学年です。憧れられる6年生になっていることをほめると、背筋を伸ばす姿が見られます。

「中学校の国語の授業で、自己紹介の時に、愛読書を聞かれることがあります。胸を張って答えられる本を読んでおきましょう。ゾロリも素敵な本ですが、それでいいと思いますか?」と1年間、言い続けましょう。

6年生は授業数に余裕があると聞きます。小学校で培った読書力を中学校につなげられるよう、図書の時間を多く取ってもらえるよう、先生方に話しましょう。

卒業の頃に、中学校の学校図書館の写真を見せると、「中学校に行っても図書館に行く!」と言う子どもが多いです。その位、中学校の図書館は魅力的なので、中学校と連携できるとよいです。

第一回目の図書の時間を魅力あるものにすることが、継続的に図書館を利用することにつながります。

役に立つサイト

・「図書の時間」通常モードでは、読書力を上げることも目的の1つとしましょう。

図書の時間▶