ほんの1か月前まで1年生だった子どもたちが、顔つきが変わった2年生になって、1年生を連れて「学校たんけん」に来ます。1年生に図書館を説明する姿がたのもしいです。

そんな2年生には、1年生の時よりバージョンアップしてもらいましょう。

オリエンテーションの内容

  1. 座席の確認
  2. 挨拶・自己紹介
  3. アニマシオン <ダウトをさがせ>
  4. 図書館の使い方おさらい
  5. 分類について(分類表ダウンロードできます)
  6. ラベルの解説(シナリオつき)
  7. 読書記録ノートの説明
  8. 借りる本を選ぶ
  9. 本の貸出手続き
  10. 帰りの挨拶

座席は指定席にしましょう。机に出席番号の札を置いておきます。全学級で使用できる番号札を作っておきます。

もちろん特別支援級の子どもも含めた出席番号です。

仲良しさんと一緒に座るのではなく、座席指定にすることで、図書の時間も「授業」だと意識づけになります。

それから、司書が子どもを名前で呼ぶことができます。もし顔と名前が一致しない場合でも、名簿を見れば名前を呼んで声をかけることができます。

本を手渡す時にも、何か注意することがある時にも、名前を呼んで声をかける方が伝わります。

日直さんに挨拶の号令をお願いします。今後もこの始まり方だ、ということが分かります。

司書が昨年度と同じ学校であっても、改めて自己紹介をしましょう。新年度が始まった、と新しい気持ちで図書の時間を迎えることができます。

アニマシオンとは、いわゆる「読書ゲーム」です。

いつもの「図書の時間」では読み聞かせから始めますが、「図書館開き」なのでイベント性があるアニマシオンを行うとよいでしょう。

また、これから少し難しい話をすることになるので、テンションを上げて前向きな気持ちになります。

2年生には<ダウトをさがせ>が分かりやすく、盛り上がります。

ダウトをさがせ やり方

絵本の1度読み聞かせを聞いて、2度目に読んだ時に間違いに気づいたら「ダウト」と叫ぶゲーム

1 ゲームの説明をする

  「これから<ダウトをさがせ>というゲームをします。先生が絵本をいつものように読みます。よーく聞いて、よーく見て、よく覚えてください。それからもう1度読みます。ちょっと間違えてしまうかもしれません。気が付いた人は「ダウト」と言ってください。「ダ」はだるまさんのダ、「ウ」は牛のウ、「ト」は扉のトです。お約束があります。もし、誰かが勇気を出して「ダウト」と言ったのに「ダウト」ではなかった場合、そのお友だちを笑ったりからかったりしません。「1人で大きな声で勇気があるなぁ」と心の中で拍手してあげてください。」

2 絵本を読む

3 もう1度、わざと一部を変えて読む。まず、題名を間違えると分かりやすいので、みんなにルールが浸透する

<<例>>

  • 「11ぴきのねこ」⇒「11ぴきのいぬ」
  • 「みんながおしえてくれました」⇒「神様がおしえてくれました」

どの図書館にもありそうな「11ぴきのねこ」(作/馬場のぼる 発行/こぐま社 1967年)と「みんながおしえてくれました」(作/五味太郎 発行/絵本館 1983年10月)がやりやすいです。前者の方がボリュームがある分、ダウトもたくさん面白いものが作れます。後者の方があまり時間を取らずに十分楽しむことができるので、図書館開きで内容が盛りだくさんの日は、こちらがいいかもしれません。

進級して、久しぶりの図書館でアニマシオンでテンションもあがったところで、改めて図書館の使い方をお話しします。

  • 静かに過ごす
  • 分からないことがあったら司書に聞く
  • 知識を得たら、図書館に置いてある調べ物カードに書く
  • 本は期限までに返す(次に借りたい人が待っている)

課題解決の場所であることを伝えましょう。

教科書に「分類」が出てきます。本がどのように並んでいるのかを話します。第一次区分を定着させましょう。

図書館の本の並び方クイズ シナリオ

  1. 新しく買った本を端から入れていく
  2. 先生が好きな本を手前に置いて、難しくてあまり読まない本は遠くに置く
  3. 本の中身によって仲間分けがされて置かれている

「そうですね、正解は3ですね。みんなも昆虫のことを調べたかったら、昆虫の本が置いてあるところまで行きますね」と分かりやすい例を入れましょう。

各分類から、複数冊、2年生が興味を持ちそうな本を紹介しながら、0類から解説していきましょう。普段、あまり本を探さない1類や3類にも楽しい本があることをアピールします。

一通り解説が終わったら、簡単なクイズ「動物の本は何類?」など出すと、理解が深くなります。

ダウンロードできます

2年生向けの内容や漢字が使用されている分類表を配って、読書記録ノートに貼ってもらいましょう。実態に合わせて編集したり、分類に関係するイラストを入れたりしてください。PC推奨です。

大きい画用紙にラベルの例を書いて説明しましょう。

「書店の本や家にある本と、学校図書館の本には違うところがあります。そう、学校の本にはバーコードのシールと、背にラベルが貼ってあるところです。このラベルは「本の住所」のようなものです。さっき説明した分類の数字は、このラベルの一番左の数字です。あとの2つの数字で、さらに細かく分けることができます。本を探す時には、分類表を見たり、本棚の上のパネルを見たりして自分が欲しい本を探してください。さて、返す時、元あった場所に返してねと言われるけど、どこだったかな・・・と忘れてしまった時、適当に違う所に入れないでくださいね。ラベルを見ると、住所ですから、ラベルの場所に戻すことができます。489と書いてあれば、4類の棚に行って、489の棚にしまってくださいね。違う所に入れてしまうと、1冊1冊端から1万冊の中から探すことになって、とっても時間がかかって、いつまでも見つかりません。自分でも、もう一度読みたいと思っても、どこにしまったか分からないし、先生もお手伝いすることができません。自分のため、みんなのためにもラベルの場所に返します。もう1つ、自分にとっていいことがあります。それは、とっても楽しかった今借りていた本を、元あった場所に返すと、続きの本があったり、ちょっと違った楽しい本が、そこで待っていてくれています。ラベルの意味を知ると、図書館名人になれます。」

教科書に「読書記録ノート」が載っています。各学年で、様式が違うので、学年ごとに図書館で用意するとよいでしょう。

担任の先生が作成し、学習の1つとして読書を推し進めたい方もいらっしゃるでしょう。逆に、「管理が難しい」「読書記録が面倒で読書自体が面倒になる子どもがいる」などの理由で、「読書記録ノート」に消極的なこともあります。

学校図書館で作成したものを紹介してよいか確認しましょう。

消極的な先生でも「希望者だけ」「義務にしない」などのやり方ならいい、という方もいらっしゃいます。

司書も「読書記録」をつけて、「こんなにたまって嬉しい!」と見せると、やりたくなる子どももいます。色々な色の台紙を用意して、新年度、心機一転、「読書記録にチャレンジ」する子どもが増えますように。

分類の説明の時に紹介した本を貸し出しましょう。

同じ2年生の他のクラスにも、どうしても紹介したい本は、とりあえずその子に貸してあげて、他のクラスの図書の時間に使いたい時に、その子の教室に行き、本を一時的に貸してもらうか、次の図書の時間に優先的に貸してあげる約束をして本を貸さないか、工夫してみましょう。

せっかく「読みたい気持ち」に火がついたところで、消してしまうのはもったいないです。

本を選んだ子どもからバラバラと貸出をすると、レファレンスをする時間が取れません。レファレンスの時間と貸出の時間は分けましょう。

本の貸出の時間になったらオルゴールを鳴らします。「貸出の時間です」と大きな声を出すと、静かに本を読んでいる子どもは驚き、「もう、しゃべってもいいのかな」と勘違いする子どももいます。

初めてオルゴールを合図に使用する時は小さな声で「このオルゴールのちいさな音色が響き渡るほど、みなさんは静かに集中して読書の時間をすごしていたということです」と褒めてあげましょう。

逆にざわついて音色が遠くの子どもに届かない時は、オルゴールを掌に乗せて歩いてみてください。美しい音色に耳を傾けて、静かになります。ざわつきが大きくて、静かにならない時は小さな声で「聞こえますか?」と聞くと、ようやく静かになります。

「なんだろう」という雰囲気になったところで「貸出の時間です。カウンターの前に列びましょう。」と小さな声で指示します。次からはオルゴールが聞こえると列びだし、またオルゴールが聞こえるように静かに過ごすことを覚えます。

貸出が終わった子どもは、一度、席に戻って本を読みながら全員が終わるまで待ちます。

全員が終わったところで「忘れ物をしないように立ち上がって、イスをきちんと入れて、出口の前に並びます」と声をかけましょう。ひとつひとつ丁寧に言うことで、子どもも慌てず行動することができます。

並んだことを確認したら、日直さんに挨拶をお願いします。気持ちを落ち着けて、姿勢を正し、静かになったまま廊下へ出ることができます。

貸出が終わったら出口に並んで待った方が時間短縮になる、と考える先生もいらっしゃるので、事前に確認しましょう。

2年生は字を読むことに慣れてきて、漢字も習得し始めているので、1年生の時より「読書を楽しむ」ことができます。

分類に慣れることは、なかなか難しいですが、新しいことを知ると探求心も高まるので、今後の図書館名人への道の足掛かりになります。

また1年、楽しい「図書の時間」を過ごしましょう。

役に立つサイト

「図書の時間」の初回はオリエンテーションですが、2回目からは読書力を上げることに注力します。

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