おめでとうございます!
学校司書はやりがいがいっぱいで、楽しい日々が待ってます!!
でも、初めてだから、いったい何からやったらいいのか分からないし、そもそも「学校司書の仕事」が分からない💦
そうですよね。学校に1人しかいないから、分からないことがあっても誰に聞いていいのか分からないですし。それに、学校というところに始めて勤める方もいらっしゃるでしょう。今、学校司書として活躍している皆さんも、最初は同じだったと思います。
採用されてから、実際に着任して最初の仕事まで丁寧に解説します。
図書のことに初めて関わる方、また資格は持っているけど、実務は初めてという方にも分かりやすくお話しします。
その前に、法律やガイドラインのご一読をおすすめします。まずは抜粋だけでも。
「お硬い文章」かもしれませんが、読むと意外にも安心します。
学校司書として何を目指したらよいかがよく分かるからです。
学校により求められることが違うかもしれませんが、本来の学校図書館に求められていること、学校司書に求められていることの基本・根拠になります。
学校図書館法の一部を改正する法律の公布について(通知)より抜粋
1.改正法の趣旨
学校教育において、児童生徒の確かな学力の育成には、言語活動や探求的な学習の充実が必要であり、同時に、読書活動等を通じて児童生徒の豊かな人間性を形成していくことが求められている。これらの活動の充実のためには、学校図書館が利活用できるよう、整備を進めることが重要である。
改正法は、この重要性を鑑み、学校図書館の運営の改善及び向上を図り、児童生徒及び教員による利用の一層の促進に資するため、司書教諭と連携しながら、その機能向上の役割を任う専ら学校図書館の事務に従事する職員を学校司書として位置付け、これを学校に置くように努めること等について定めるものである。
学校図書館ガイドライン より抜粋
(3)学校図書館の利活用
・ 学校図書館は、児童生徒の興味・関心等に応じて、自発的・主体的に読書や学習を行う場であるとともに、読書等を介して創造的な活動を行う場である。このため、学校図書館は児童生徒が落ち着いて読書を行うことができる、安らぎのある環境や知的好奇心を醸成する開かれた学びの場として環境を整えるよう努めることが望ましい。
・ 学校図書館は、児童生徒の学校内外での読書活動や学習活動、教職員の教育活動等を支援するため、図書等の館内・館外貸出しなど資料の提供を積極的に行うよう努めることが望ましい。また、学校図書館に所蔵していない必要な資料がある場合には、公共図書館や他の学校の学校図書館との相互貸借を行うよう努めることが望ましい。
・ 学校は、学習指導要領等を踏まえ、各教科等において、学校図書館の機能を計画的に利活用し、児童生徒の主体的・意欲的な学習活動や読書活動を充実するよう努めることが望ましい。その際、各教科等を横断的に捉え、学校図書館の利活用を基にした情報活用能力を学校全体として計画的かつ体系的に指導するよう努めることが望ましい。
役に立つサイト
学校図書館法やガイドラインを全文、見ることができます。
では、学校司書とは何なのか基本が分かったので、いよいよどんな仕事をするのか、です。
こんなことが分かります
- 校長面談(配属が決まったら)
- 4月1日(着任日)
- 始業式(着任式)
- 司書教諭との初めての打ち合わせ
- 一番最初にやる図書館整備とは
まず、配属校が決まったら、校長先生との面談があると思います。
校長面談で確認すること
いよいよ配属校が決まったら、着任前か着任日に【校長先生と面談】があるでしょう。
何を話すかというと・・・
- 「どこの住んでるの?」とか「どうやって通勤するの?」と基本的なことを確認される
- 学校の教育経営方針を話される
- 学校司書の勤務日・勤務時間
学校が図書館をどのように経営しているのか、どのように経営してほしいのか話されます。「読書推進に力を入れている」とか「授業支援にどんどん入って欲しい」とか、学校として又は校長先生の希望を話されるでしょう。
非常勤の場合は、勤務時数の制限などは決まっていることが多いです。限られた時数で、どのように勤務するのかを確認します。
<ここが大事!!学校や校種によって違います!>
小学校は1時間目から授業で図書館を使えるように開館する、または朝学習の時間に読み聞かせをする場合は子どもの登校より早く出勤することもあります。
中学校は放課後にも貸し出しができるよう開館する場合、退勤が遅くなる分、出勤が遅いこともあるので、確認が必要です。
いよいよ学校司書としての仕事が開始します。
年度初めの4月1日に着任、という方が多いのでは?
着 任 日
4月1日は、他に異動されてきた先生も着任される日なので、複数の先生と一緒に校長室に集まります。その先生方とは、着任した学校においては「同期」となります。
その「同期」の先生方と一緒に、職員室で先生方の前で挨拶をします。当日はスーツを着ます。
明るくご挨拶しましょう。
【自分専用に貸してくれるもの】
- 下駄箱
- ロッカー
- 職員室の机
- 職員室で使うパソコン
- パソコンのID(自治体からもらうものと学校からもらうものがあるかもしれません)
- ICT機器(持ち運べるタブレット・子どもと同じ形状のもの)
机やパソコンは、学校によっては職員室のキャパの問題で、他の非常勤の先生と共同になるか、又は「ない」ことがあります。職員室の机とパソコンは必要です。「必要ですか?」と聞かれたら、遠慮しないで「必要です」とお答えください。
もし「ない」場合は・・・いつか必要になる日がくると思います・・・司書教諭の先生にまず相談してみましょう。
4月1日は、着任の先生でない先生方にとっても、新しい1年の始まりです。新しい学級・学年の始まりなので、席替えをします。
学校司書の席も替わるかもしれません。指示を待ったり、できることをお手伝いしたりします。
事務室で文房具を借りることができます。司書教諭の先生に相談するのもいいですね。
司書教諭の先生と打ち合わせ
司書教諭の先生との打ち合わせをします。
司書教諭の先生は学級担任との兼務も多いので、年度始めは忙しくて、時間調整が難しいかもしれませんが、学校図書館についての打ち合わせをしたい旨を伝えておいて、声をかけてもらうようにします。
それまで職員室の机の整理をしたり、図書館に行ってみたりしてもいいですね。
司書教諭の先生との打ち合わせ
- 学校司書の勤務時間について
- 1年間の計画
- 図書館開きの日程
- 図書館オリエンテーションについて
- 司書教諭と学校司書との打ち合わせの時間の確認(週1など定期的に行うのか、司書教諭の空いている時間や学校司書が放課後に打ち合わせできる曜日などの確認)
- 図書部について
- 授業支援について
- 図書だよりについて
- 図書委員会について
- 図書館用の教科書について
- 図書の購入について
- 図書館パソコンソフトについて
- ボランティアについて
上記は司書教諭の先生主導で行います。
非常勤は長期休み(春休みや夏休みなど)は、休まないと勤務時間の制限を超えてしまうこともあるので、計画して、年度始めの出勤日だけでも確認ができるといいです。着任日の4月1日は春休み期間です。初めての司書さんは自治体の研修や式典があるかもしれません。この春休みは、出勤した方がいいのかどうかは、図書館開きの日やオリエンテーションの日程によります。確認しましょう。
着任日の挨拶や司書教諭の先生との打ち合わせ、緊張しますね。
4月1日は、先生方も実は大忙しです。職員室内の席替え(学年ごとに近い席にする)、教室配置が変更になる場合の学年に合った机やイスの移動作業、新しい学年の準備や「校務分掌」(担任としての仕事の他、校内の役割分担)の会議などでいっぱいです。
司書教諭の先生と打ち合わせができなかったら、後日、改めて話ができるよう、日程の調整をしてもらいましょう。
始 業 式
校長先生から事前にお話しがあると思いますが、始業式には同時に「着任式」があり、新しく着任した先生が一人一人壇上に上がって挨拶をします。役職や年次順に挨拶をするので、学校司書は最後の方です。「図書館に行くことが楽しみになる」ように明るく挨拶をしましょう。
始業式から図書館を利用する学級はないと思います。
中には「春休み前に本を返すのを忘れてた」と慌てて本を返却に来ることがあるので、開館しておくといいでしょう。
いよいよ、学校が始まります!子どもが休み時間に本を読んだり借りたりできるよう、準備をします。
学級の「図書の時間」の受け入れもできるよう、図書館オリエンテーションの準備も必要です。
年度初めの司書の仕事
初めて学校司書になられる方も、ベテランの学校司書さんも、司書教諭の先生との打ち合わせで決まったたことから始めます。
まずはたいてい、【 図書館開らき 】に向けて、新年度の業務が必要です。
【 図書館開き 】というのは、「図書館の鍵を開ける」ことではなく「図書館として機能させる」ことです。「機能する」というのは、少なくとも「貸出返却ができる」ことです。
図書館開きの前にやること
- 図書館ソフト(貸出返却をするパソコンソフト)の児童の進級処理(前年度の1年生を2年生に進級させて、新しいクラスにする)
- 新入生の登録
- (必要ならば)図書館カードの作成
- オリエンテーションの日程の調節(司書教諭の先生が、各先生方に確認してくれます)
- 各学年に合わせたオリテンテーションの準備
役に立つサイト
オリエンテーションを学年別に解説しています。資料もダウンロードできます。
図書館には本の貸出返却ができる、子どもの名前やカード番号が入っているソフトがあります。その操作は主に学校司書の仕事です。
学校司書が配属になる前までは、司書教諭の先生や「図書部」がソフトの管理をしていたことになるので、パスワードややり方を教えてもらいましょう。詳しい操作方法は、マニュアルを見たり、取引のある本屋さんが教えてくれることもあります。
★この時期に「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書の発表があります。
司書教諭の先生と相談して、発注します。毎年のことなので、司書教諭の先生もご存知です。本来「選書と発注は司書教諭の先生の業務」ですが、年度初めの忙しい時期と重なるため、それとなく確認してみましょう。
役に立つサイト
法的立場で司書教諭と学校司書の仕事・役割は違います。図書館に関する「権限」は司書教諭にあります。学校司書の雇用形態や学校によって違いがありますが、目安になるので見てください。表で分かりやすく解説しています。
さあ、これからどんな図書館にしようか、と胸が弾みますね!
「図書館整備」は学校司書の業務ですが、学校司書が配属される前は司書教諭の先生が行ってきたことでもあるし、過去に学校司書さんんがいた学校も、司書教諭の先生と作り上げできた図書館なので、なにか変更や移動が必要な場合は、司書教諭の先生に相談しながら進めます。
この「図書館整備」は「図書館開き」の後に開館しながらできることもありますが、大規模改装が必要な場合は、「図書館開き」の前に行う方がよいときもあります。
春休みは出勤しない非常勤の学校司書さんもいるので、どんなタイミングで行うのかも着任後、考えることのひとつです。
学校図書館を見まわします
学校司書になられた皆さんは「こんな図書館にしたい!」というビジョンがあると思います。どんどん、図書館の魅力をアップしましょう。
と、その前に、現状を確認しましょう。どんな図書があるのか、排架がどうなっているのか、新聞などどこに何があるのか、閉架や司書スペース、カウンター、ゴミ箱、掲示物・・・
まだ「図書室」というプレートの学校は、是非【 図書館 】に変更してもらいましょう。
学校図書館は「学校図書館法」に基づいた、機能をもつ【 図書館 】です。
【前にも学校司書さんがいた学校図書館】と【初めて学校司書が配属された学校図書館】とでは、現状が大きく違うと思います。
それぞれの場合で、どんなことをするのかまとめてみました。
【前にも学校司書さんがいた学校図書館】
前任の方が作り上げている図書館は、その学校が必要としている図書館になっているので、それを継承しつつ、だんだん実態や時代に合わせてもっと使いやすい、過ごしやすい図書館を作り上げていきます。
その学校特有の排架をしていることがあります。
例えば、、別置です。別置とは、分類を超えて「コーナー」のような感じで、あるテーマでまとめて排架した棚です。
・戦争や平和の本 ・文庫 ・教科書に出てくる又は紹介されている本 など、学校で使いやすいように工夫されています。
もし、疑問だったり、時代に合わなかったりしたら、自分で排架を変更することもできますが、先生方や子どもたちが習慣的に利用していることもあるので、少し様子を見ましょう。その排架の意味や良さが分かってくることがあります。
基本に基づいていない排架は直しましょう。間違った排架でも「子どもは現状に慣れている」から直しにくい、と躊躇することはありません。
子どもたちの未来のため、子どもたちを信じて、正しい排架にしましょう。
変更する際には、司書教諭の先生にも相談をします。
あまりにも大掛かりな移動や手間がかかる場合には、先生方やボランティアさんにお手伝いをお願いできるか、司書教諭の先生と一緒に管理職に相談をした方がよいです。
【初めて学校司書が配属された学校図書館】
初めて学校司書という人が配置された学校の図書館は、まず、本の排架から見直さなくてはならない場合があります。
もしかしたら、これまで購入した新しい本がまだダンボールに入ったまま置かれていることもあるかもしれません。
貸出ができるよう、本の【 受け入れ作業 】と【 排架 】をします。
受け入れ作業
本の受け入れ作業とは
- 【 図書館ソフトへの書誌情報の入力 】(蔵書受け入れ・引当)
- 【 図書の装備 】
です。
【図書館ソフトへの書誌情報入力】
図書館ソフトに書誌の情報と、自校の書誌コードを入力することです。
現在は図書の管理が電算化されている学校がほとんどだと思います。書誌コードはバーコードになっていることが多いです。
図書館ソフトへの入力は、これまでその作業を行っていた図書館担当の先生にお尋ねするか、マニュアルを見ます。機械に強くなくても、マニュアルに書いてある通りに行うと案外スムーズにできます。取引のある本屋さんが来校して教えてくれるサービスもあるので確認してみましょう。
【本の装備】
本を装備とは以下です。
○自校のバーコードを貼る
背を左側にして置いて、上部になった表紙(裏表紙の場合もある)の下方の中央に貼るのが一般的です。
裏表紙に貼ることを統一すると、バーコードを探さずに済みます。それから蔵書点検など、一気にバーコードを読み込む時に便利です。
○背ラベルを貼る
分類番号・分類記号・巻数 を書くのが一般的です。
分類番号は、ナンバーの印鑑を使うと揃ってきれいです。
○蔵書印を押す(学校名が書かれたハンコ)
細長いハンコは本の天か地に、大きめの角盤は見返しに押すのが一般的です。
押印しない学校もありますので、確認しましょう。
○返却期限の日にちのハンコを押す紙を貼る
裏表紙の見返しに貼るのが一般的です。裏表紙にある情報が消えてしまわないところが望ましいと思います。
貼らない学校もあります。
○ブッカーをかける(本の傷み・汚れ防止のビニールカバー)
全部の本にかけると、相当な手間ですが、傷みや汚れ防止に効果的です。
やってみると、もくもくと作業できて、ハマる人もいます。司書は勤務時数に限りがあるので、ボランティアさんがいらっしゃれば、お願いしましょう。
購入先(取引のある書店・本の卸業者)で背ラベルを貼ってくれたり、ブッカーをかけてくれていたり、装備代を書籍代とは別に支払うことで代行してもらっている学校もあると思います。
本のカバーは取り外すと本の魅力が下がってしまう本は、そのままカバーをしたままにしておきますが、破れたり破損すると古く見えてしまうので、カバーを取り外さない本は優先的にブッカーをかけることをお勧めします。
排架
配架とも書きます。本を所定の場所に収めることです。
「所定の場所」というのは、【日本十進分類法】を利用して「所定の場所」を決めます。
正しく本を並べることは、学校司書にとって最も大切な仕事です。
本は左から右に置きます。1巻の右隣に2巻を置きます。反対には置きません。
役に立つサイト
図書館の図書をルールに基づいて排架します。詳しく解説しています。
まとめ
学校に勤めることが初めて、という方もいらっしゃるでしょう。自治体で研修があっても、実際に学校で働く時には、それぞれの学校のやり方があったり、習っていないことに直面したり、戸惑うことがあるかもしれません。
司書教諭の先生や仲良くしてくれる先生や管理職の先生などに、分からないことは尋ねましょう。
辞令交付式や自治体の研修では、他の学校司書さんと連絡を取れるように、お友だちを作りましょう。頼りになります!!
先生方は学校司書を「図書館のプロ」だと思ってくださっています。子どもたちは「図書館の先生」だと思っています。ボランティアさんにはレクチャーをする立場です。
学校司書の仕事はやりがいいっぱいです。楽しむことが一番です!
役に立つサイト
「学校ならではの仕事」があります。例えば印刷の仕方とか・・・コピーではなくて。「事務室」は「文房具置き場」ではありません。