教員免許と司書と司書教諭の資格を持つ現役学校司書です。「学校司書」が認知される前から地道に活動し、ようやく学校にチームの一員に。明日から使える実践やダウンロードできる資料が満載です!
図書館の4要素 とは
- 図書館の施設
- 図書館資料
- 図書館職員
- 利用者
「利用者」を除いて「図書館の3要素」ともいわれますが、やはり「4要素」にこだわりたいです。図書館として機能するための必要な要素だからです。学校図書館としての「4要素」を詳しくみてみます。
ランナガタン博士による「図書館学の五原則」の「図書館は成長する有機体である」の「成長」には「利用者」が大きく関わっていますね。
図書館の施設
学校図書館の「施設」は、図書館としての教室であり、空間です。その「施設」の活用法を解説します。
- 資料を保存する
- 成果物や作品などを展示する
- 学習やイベントを行う時に使う
資料を保存する
図書館は「資料の保存」も役割の1つです。
図書だけでなく
- 学校の周年記念冊子
- 地域の歴史資料
- 読書感想文・感想画の入賞作品集
- 生活科や総合的な学習の時間で作成された作品や成果物
など、学校ならではの資料を保存・管理します。
先生は異動されてしまうので、地域に特化した成果物(かるたや地図など)は図書館に保存することで、代々引き継ぐことができます。
成果物や作品などを展示する
学校図書館は、校内でも数少ない「全校児童・生徒が訪れる教室」です。
図書館に作品を展示する利点
- 司書が解説できる
- 学習の異学年交流ができる
- 事前に「図書館に展示する」と言うと、子どもは「全校の人に見てもらえる」または「見られてしまう」と思い、成果物の完成度が高くなる
- 廊下やホールに展示するより、安全に展示することができる
- 図書館の集客につながる
上の学年の作品を見ることで、学習意欲が上がります。
学習単元の時期になったら先生に「展示しますか?」と声をかけてみましょう。
図書館利用の促進にもつながります。
国語だけではなく、社会科や生活科にも注目しましょう。
成果物が出る主な単元
- 1年生:じどうしゃくらべ
- 1年生:どうぶつのあかちゃん
- 2年生:お話作り
- 3年生:地図からお話作り
- 4年生:ポップと帯
- 4年生:伝統工芸
- 5年生:国土について(各地の生活の工夫)
- 6年生:世界の国々
- 6年生:日本文化の発信
- 生活科や理科の観察ノート
- 防災新聞
- 詩集作り
学習やイベントを行う時に使う
図書館で使われることが多い、大きな机に6脚のイスは色々活用できます。
百人一首大会や係活動など、図書資料を使わない時でも、図書館が空いていたら積極的に活用してもらいましょう。
百人一首の本を借りたり、係活動ではポスター作りにイラストの本を借りたりすることもあります。
図書館が身近なものになり、集客につながります。
図書館資料
図書や資料は、貸し出しや図書館の中で読むだけでなく、教室で自由に【並行読書】や【調べ学習】ができるように、学年や学級に貸し出しを行いましょう。
学年用に図書ラックを購入してもらうか、廊下の棚や教室の学級文庫として本を置きます。
定期的に交換することが大切です。
「管理」は先生方にお願いすることになるので、学年貸し出しを行うかどうかを確認しましょう。
テストが早く終わった時など、休み時間や朝読の時間以外にも読むことができます。
置くだけでなく、子どもの興味を引くような飾りや掲示をつけたり、クイズやワークシートを一緒に置くと効果的です。
学年貸し出しのルール
- 読み途中であっても、机などに入れずに、ラックや場所に都度戻す
- 読み途中の本には、付箋などのしおりをはさむ
- 家に持って帰らない
図書館職員
学校図書館では、学校司書でしょう。
図書館の整備や「図書の時間」、委員会指導は大切な仕事です。
加えて、学校行事や単元の進み具合や、生活科と総合的な学習の時間のテーマにアンテナを張ります。
できたら、全ての先生に1週間に1度、「今の単元」「図書館を使う予定」を尋ねましょう。
子どもだけでなく、先生方とコミュニケーションをとることも大切です。
意外に「図書館を使おうと思っていたのに忘れてて、もう学習が終わった」と残念なことがあります。
学校司書は非常勤で勤務している人が多いので、先生方が学校司書に話そうと思う時間に、すでに学校司書が退勤している、ということがあります。
調べ学習を教室で行う場合には、図書資料を使わなくても、学校司書が役に立つので、参加できるか聞いてみましょう。
「一緒にやります」とか「手伝いましょうか」と言うと、「自分のペースで学習を進めたいのに・・・」と負担に思われることもあるので、「(今後のために)(自分の勉強のために)見学してもいいですか」とお尋ねすると、良いお返事をいただけることがあります。
学校司書が、先生方や子ども達に身近な存在になることで、学校図書館の利活用につながります。
それは【子どものため】になるのです。
まずは、年度始めに全クラスに「図書館ガイダンス」を行いましょう。
各学年、国語の教科書の初めの方に「図書館利用」の単元があります。
「図書館開き」では「図書館オリエンテーション」を行い、学校図書館のよさ、可能性、利活用の仕方とともに、学校司書としての仕事を先生方に見ていただきましょう。
役に立つサイト
図書館オリエンテーションのやり方を、学年ごとに丁寧に解説しています。
利用者
学校図書館の利用者は、子どもと教職員です。
学校司書も本の情報にアンテナを張っていますが、利用者のアンテナから教えてもらえることが多いです。
- この学校図書館に欠けているものに気づいてもらえる
- 新刊が出た時に教えてもらえる
- 個人の読書傾向に合わせて購入しても、似た傾向の子どもも読める
移動されてきた先生に「あの本ないんですね」と言われて初めて、定番の本がないことに気づくことがあります。
人気シリーズは早く用意してあげたいので、アンテナを張っているつもりでも、漏れてしまうことがあります。
子どもはちゃんと情報をキャッチして、教えてくれます。
また、「赤い蝋燭と人魚」(作:小川未明 絵:酒井駒子 偕成社 2002年1月)が好きと言う子のために、酒井駒子さんの美しい絵本を購入リストに入れることがあります。その子の笑顔が目に浮かびますが、他にもこの美しい絵本に魅せられる子どももいます。
子どもの瞳を借りて、子どもの感性や可能性を見ることができます。
まとめ
ICTが進んで、なかなか図書館の利活用が進まない💦
大丈夫です!
図書館の4要素のうち、前半の
- 図書館の施設
- 図書館資料
- 図書館職員
の3つのどれかを使うことが【学校図書館の利活用】に当てはまります。
できることからやってみましょう。