5年生の教科書では「第3次区分」まで説明されています。自校の図書館で説明してあげると、より理解が深まるでしょう。

難しい話の前に、楽しい絵本で雰囲気を和ませるとよいです。

国語の初めの方に「図書館の使い方・分類」などの単元があります。教科書に合った内容で提案をすれば、たいてい1時間、学校図書館に来てもらえます。

「学校図書館の大切さ」が子どもにも先生にも分かってもらえるような「図書館オリエンテーション」にして、また1年間、学校図書館の活用を授業に取り入れてもらいましょう。

オリエンテーションの内容

  1. 座席の確認
  2. 挨拶・自己紹介
  3. 読み聞かせ
  4. 図書館の使い方おさらい
  5. 分類について(シナリオつき・分類表ダウンロードできます)
  6. 読書記録ノートの説明
  7. 借りる本を選ぶ
  8. 本の貸出手続き
  9. 帰りの挨拶

座席は指定席にしましょう。机に出席番号の札を置いておきます。全学級で使用できる番号札を作っておきます。

もちろん特別支援級の子どもも含めた出席番号です。

仲良しさんと一緒に座るのではなく、座席指定にすることで、図書の時間も「授業」だと意識づけになります。

また、司書が子どもを名前で呼ぶことができます。もし顔と名前が一致しない場合でも、名簿を見れば名前を呼んで声をかけることができます.

本を勧める時、注意する時は名前を呼ぶと効果的です。

日直さんに挨拶の号令をお願いします。今後もこの始まり方だ、ということが分かります。

司書が昨年度と同じ学校であっても、改めて自己紹介をしましょう。新年度が始まった、と新しい気持ちで図書の時間を迎えることができます。

何年生になっても読み聞かせをしましょう。読み聞かせは「読書」です。

5年生は教科書で分類の学習が本格的になるので、難しい話の前に楽しい絵本で和むとよいです。

【うえきばちです】(作/川端誠 出版/BL出版 2009年7月)がオススメです。

ますます、課題解決の場所として活用する年です。「図書館に行けばなんとかなる」という気持ちを植え付けることが大切です。

5年生では年鑑の使い方を学び、様々な資料を読み解く単元があります。

  • 静かに過ごす
  • 分からないことがあったら司書に聞く
  • 知識を得たら、図書館に置いてある調べ物カードに書く
  • 本は期限までに返す(次に借りたい人が待っている)

役に立つサイト

5年生では「日本十進分類法」という言葉が出て、第2次区分まで説明があります。

日本十進分類法は3年生から解説してもよいです。自分の学校だけでなく、公共図書館も隣の学校の図書館も同じものを使っていると加えると理解できます。

学校図書館の実態に合わせて、第2次区分・第3次区分まで統一していたり、分類によって使い分けているところも多いでしょう。

「図書館のラベルには数字が3つあるけど?」と消化不良を起こしてしまいます。学校の図書館に合わせて解説・説明を加える必要があります。

「日本十進分類法」はパネルを作成し、ラベルも大きく書いたものを見せると効果的です。

分類の説明シナリオ

図書館の本は「日本十進分類法」というちょっとかっこいい名前のきまりで並んでいます。

本の中身によって0類から9類の10に分かれていて、さらにまた内容によって10に分かれています。それで本のラベルには2桁か3桁の数字が書いてあるのです。

2類とか3類とか棚の数字は、ラベルの一番左に書かれている数字のことです。このラベルは913と書いてあるので、一番左の数字の9の棚にある、9類の本だということが分かります。

ではどうして2桁とか3桁になっているのかというと、1桁だけでは本を探すことが難しいからです。

例えば、皆さんがよく使う4類は、棚が多いですね。あの棚の端から「カブトムシ」を探そうとすると大変です。皆さんもカブトムシはだいたいここら辺にあるな、と分かっていると思います。それは2桁、3桁で整理されているからです。

スーパーマーケットを思い浮かべてみましょう。肉・魚・野菜・文房具と分かれていますよね。それが1桁目だと思ってください。次に、肉の中でも、牛肉・豚肉・鶏肉と分かれています。それが本でいうと2桁目。鶏肉でもモモ肉・ムネ肉・ササミとごちゃまぜに置いてないですよね。3桁目です。(ひき肉は別置)

(分類表を見せて)4類はこのように分けて排架しています。さらに48動物学の中には、虫も哺乳類も魚・鳥などあります。3桁目でそれらも分けてあげないとあそこの棚を全部探すことになってしまいます。

これは4類だけではありません。皆さんが本を探している時に何気なく足を向ける方向が、ちゃんと分類されている書架に向かっています。7類はスポーツと音楽、工作など分かれているし、9類も詩や日本の物語、本当にあったお話と分かれているのです。

さて分類で分かれている、と言っても、リンゴはリンゴジャムとリンゴゼリーは同じ所にありますか?リンゴは青果売り場、リンゴジャムはジャム・はちみつ売り場、リンゴゼリーはスイーツ売り場にあります。

実は、図書も同じです。「先生、犬犬、犬の本どこ」とだけ言われても困ることがあります。動物としての犬のこと、犬の飼い方、盲導犬、フランダースの犬(物語)は別々の所に置いてあるからです。動物として犬を調べる図鑑は0類(又は4類)、犬の飼い方は6類、盲導犬は3類、フランダースの犬は9類にあります。

さあ、この913とか489とかテストに出ますからね。(笑う)ウソウソ。

皆さんが本を探せるために、本を正確な場所に戻しましょう。分からなくなったら先生に聞いてください。

5年生の社会科と理科で学習する内容を先取りして、分類と本の場所を示します。総合的な学習や日頃の課題設定の「種まき」になるような本も紹介できるとよいです。

社会科

  • 日本の国土・気候・自然災害
  • 米つくり
  • 自動車産業
  • 情報通信

自動車産業ではグラフの読み方、情報通信ではメディアについて、国語とリンクする部分が多く、算数でもグラフを学習するので、教科間横断に意識しましょう

理科

  • 植物
  • 人・動物の誕生
  • 気候・天気
  • 電流・磁石

台風は社会科の自然災害にもリンクします

これらの本の分類と関連図書を紹介します。社会科と理科の学習より前に興味を持ち、楽しみになっていくところを瞳の輝きで感じることができます。

その時に借りたい気持ちを大切にして、どんどん貸してあげましょう。

ダウンロードできます

5年生向けの内容や漢字が使用されている分類表を配って、読書記録ノートに貼ってもらいましょう。実態に合わせて編集したり、分類に関係するイラストを入れたりしてください。PC推奨です。

教科書に「読書記録ノート」が載っています。各学年で、様式が違うので、学年ごとに図書館で用意するとよいでしょう。

担任の先生が作成し、学習の一環で読書を推し進めたい方もいらっしゃるでしょう。逆に、「管理が難しい」「読書記録が面倒で読書自体が面倒になる子どもがいる」などの理由で、「読書記録ノート」に消極的なこともあります。

学校図書館で作成したものを紹介してよいか確認しましょう。

消極的な先生でも「希望者だけ」「義務にしない」などのやり方ならいい、という方もいらっしゃいます。

司書も「読書記録」をつけて、「こんなにたまって嬉しい!」と見せると、やりたくなる子どももいます。「4年生の時にも挑戦したけど、失くしちゃったから悪いなぁ」「また途中で面倒になっちゃうかもしれないし」と躊躇する子どももいるので「前のことは気にしない。今やりたいかどうかが大切だから。挑戦することにも大きな意味がある」と背中を押してあげましょう。色々な色の台紙を用意して、新年度、心機一転、「読書記録にチャレンジ」する子どもが増えますように。

分類の説明の時に紹介した本も貸しましょう。今が「読みたい時」です。

学校司書が「5年生の他のクラスにも紹介したいから貸してあげられない」と言うと、次回に違う本を紹介した時にも「借りられないんだろうな」と思ってしまいます。是非貸してあげましょう。

複本がない場合は、「貸してあげるけど、他のクラスで紹介するまで預からせて欲しい。使い終わったらこの本を届ける」や「来週、絶対貸してあげる」と約束をし、子どもの気持ちを尊重しましょう。

貸出の時間の前に、レファレンスの時間を取りましょう。困っている子がいなくなり、授業の終了時刻に間に合うように貸出の時間に移ります。

本の貸出の時間になったらオルゴールを鳴らします。「貸出の時間です」と大きな声を出すと、静かに本を読んでいる子どもは驚き、「もう、しゃべってもいいのかな」と緊張の糸が切れたように、おしゃべりを始める子どももいます。

初めてオルゴールを合図に使用する時は小さな声で「このオルゴールのちいさな音色が響き渡るほど、みなさんは静かに集中して読書の時間を過ごしていたということです」と褒めてあげましょう。

逆にざわついて音色が遠くの子どもに届かない時は、オルゴールを掌に乗せて歩いてみてください。美しい音色に耳を傾けて、静かになります。ざわつきが大きくて、静かにならない時は小さな声で「聞こえますか?」と聞く尋ねるだけで静かになります。

「なんだろう」という雰囲気になったところで「貸出の時間です。カウンターの前に列びましょう。」と小さな声で指示します。次からはオルゴールが聞こえると列びだし、またオルゴールが聞こえるように静かに過ごすことを覚えます。

貸出が終わった子どもは、一度、席に戻って本を読みながら全員が終わるまで待ちます。

全員が終わったところで「忘れ物をしないように立ち上がって、イスをきちんと入れて、出口の前に並びます」と声をかけましょう。ひとつひとつ丁寧に言うことで、子どもも慌てず行動することができます。

並んだことを確認したら、日直さんに挨拶をお願いします。気持ちを落ち着けて、姿勢を正し、静かになったまま廊下へ出ることができます。

貸出が終わったら出口に並んで待った方が時間短縮になる、と考える先生もいらっしゃるので、事前に確認しましょう。

分類について詳しい話ができました。この時間では反応がよくても、意外に定着するには時間がかかります。

繰り返し解説することが大切です。

5年生では年鑑やグラフの読み方など、教科等横断的な学習が多いですが、先生方も意外に気が付かないことがあります。

年度始めに見通しをお話ししておくと、他教科のペース配分や学習時期を検討する素材になります。

第一回目の「図書の時間」を充実したものにして、今後につなげていきましょう。

役に立つサイト

・「図書の時間」通常モードでは、読書力を上げることも目的の1つとしましょう。

図書の時間▶

・百科事典の使い方は4年生の教科書に出てきます。3年生では図鑑の使い方を学習しているはずですが、定着していないことがあります。ゲームをして定着を図りましょう。調べ物名人ゲームをダウンロードできます。

百科事典と図鑑の使い方レクチャー▶